2日目 定時
彼曰く、働きすぎるなとは言わないが、定時を目指せ。
***
ハマっている漫画の一つに『左利きのエレン』というものがある。
才能に愛されて生まれてきたエレンと、才能を持たないが才能を持つ人間にあこがれる光一。
それぞれが現実と理想の乖離を知り、絶望し、それでも挑戦していく姿を描く、大人の仕事群像劇。
ドラマ化もしており、少年ジャンプ+にてリメイク版が連載されている。
読んだことのない人はぜひ読んでほしい漫画の一つ。
以前にこの日記でも紹介したことがあったけど、定期的に読み返したくなる面白さがある。
仕事がどんなに大変で、嫌だなと思っても、「自分も頑張らなきゃ」と思わせてくれるアツい漫画だから。
話の中で光一が広告会社に新卒で入ったばかりのころのエピソードがある。
才能にあこがれ、才能にあふれた先輩や上司がいる中で、光一が配属されたのは花形の神谷チームではなく定年間際ののんびり屋がチーフを務める沢村チームだった。
ガツガツと働きたい光一はなんとか自分をアピールしようと必死になるが、焦る光一に沢村が言った。
「いいか、定時を目指せ」
どれだけ働いたところで、どれだけ残って働いたところで、会社は自分を育ててくれるわけではない。
才能がないから、コネがないから、資格がないから…。
何かしら持っているカードがないからと言って、誰もが持っている若さを理由に無理な仕事をしてはいけない。
いずれ失う最後の切り札をはじめから使ってしまってはそういう働き方しかあてにできない。
じゃあそのカードを失った時どうするのか。
カードを切れなくなるほど体力が落ちてきたときどう働けばいいのか。
その時に使えるカードをどうそろえるか。
そういうことを考えて働き、生きていく必要がある。
働き方が見直される時代、この言葉は印象的だった。
よく考えれば当たり前のこと、でも昔からそれを越えて頑張り、評価されてきた人たちがたくさんいて、みんながそこにあこがれて働きすぎる傾向になった。
でも結局そういう人たちは独立したり、一線で活躍できる時代はとうの昔。
考え方も変わってきて、自分の時間を大事にするように言われることが増えた。
久しぶりに定時で帰った。
先週中ごろまで深夜待機などが多く、正直心労はたまっていたと思う。
いつもよりもかなり早い時間にベッドに寝転がる。
窓から入る夜風がまだぬるい。
少しずつぼやける視界の中で、月明かりだけが優しく微笑んでいる気がした。
明日も頑張ろう、新しい自分を育てるために
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