20日目 深夜待機

彼曰く、夜中の気分は変態的。


 ***


この業界のよくないところを上げるとしたら、待機時間が長いことでしょうか。

昔からの作り方、考え方が染みついた業界の空気が簡単に変わることはないらしく、起きていられる間は頑張って働こうとする雑草魂。

技術が発展したはずのこの日本にもまだ泥臭い精神は生きています。

雑草魂、泥臭い精神。

この2つの言葉からは私の苦手な野球部のイメージがわいてくるんですが、野球部で頑張っていた同級生たちはいったい何をしているんでしょうか。

世界の日陰者の私にはちょっと想像がつきませんね。

たぶん日なたで生きているんでしょうね~うらやましい。


ところでこの世界の日なたってどこでしょう?

隠者の私にはわかりません。


夜中の職場は少しばかり寂しいです。

普段の空気はそれなりににぎやかですから、部署をまたいで人が行き来するので、結構な頻度で雑談が挟まる、アットホームな環境。

仕事が進まないこともありますが、精神衛生的には割と安全に思います。

逆に人の少ない深夜帯は仕事がよく進む。

やはり私自身、ぼっち精神と無駄に折れづらいド根性精神が1日の最後の頑張りを支えているんだと思います。

淡々と進む仕事、何の音も聞こえない、普段とは違う仕事場。


あれ、なんでこんな時間まで私働いているのかしら?

 こんなことをしているくらいなら小説とか漫画とか読んで勉強したいな~

ちょっと涙目になりながらテキパキと仕事を片付けていきます。


深夜の仕事は気を抜くと精神がやられてしまうのでほどほどにしましょうね。


深夜待機の理由はもう一つ。

成果物の回収に向かわないといけないのです。

回収時に「遅くまですみません…」と言われながら渡されます。

 お前ほんとに思ってんのか?

内心キレ気味になりながら、うわべではその感情は見せてはいけません。

「いえ、遅くまでありがとうございます!」


そういって次の上がりまでまた待つのです。

そのたびに怒りと喜びが心の中を跋扈する。

こういうときにやっぱり思うんです。


 いやー、私って変態だなー。

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