21日目 夏日
彼曰く、日陰でポケモンGOをする彼女たちは正義か、平和の象徴か。
***
どこからともなく聞こえてくるセミの声。
まぶしすぎる光が瞳を通して私の心を見透かしてくる。
突き抜けるほどの青、体を焼くほどの熱意。
そのすべてが、熱い空気に満ち満ちている。
都市部にはビルが多い、ということは日陰がさぞ多いことだろう。
そう思っている頃が私にもあったけど、大通りを見て時間によって変わることを知った。
東京の西側に引っ越してきて、東京の空も地元の田舎とおんなじ広さだということを知った。
つまり、日陰なんて少なかった。
限られた場所にしか日陰はなく、そのわずかな場所を巡りあって密度を増している。
密になるなと言われているのに、密になる日陰のマダムたち。
止めた自転車に持たれてまで、スマホを見つめ続けるその理由は何ですか?
聞くまでもなくポケモンGOだろうけど。
果たしてその暇つぶしは正義なのか、やっても許されることなのか。
それともどんな苦難でも暇を見つけられるという平和の象徴なのか。
電線にとまる鳩は気にも留めていない。
今年の梅雨は長かった。
その長かった梅雨も明け、さらに長い夏の時期がやってくる。
人生何度目かの、暑い暑い夏がやってくる。
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