30日目 6月末
彼曰く、追い詰められたとき、人の本性が表れる。
***
梅ちゃんです、ダウナー期です。
ダウナー期セカンド。
今年に入って、というより新年度が始まってから。
私の調子は下がり調子で推移している。
経済圏内にはいるものの、周りからはどこか置き去りにされている感じ。
今まではそれなりによくやれていた方だと思う。
でもそれがずっと続くわけがなく、自分がずっと栄光を握れているのは少ない期間だけ。
人は追いつき、追い越し、置き去りにしていくものだ。
私よりも出来がよくないと思っていた人は気づけば能力が上がっているし、
私よりも出来が良かった人は、当然のように出世していき、もしくはどこか遠くに行ってしまう。
人の成長は見て取れるのに、自分の成長は全然見当もつかない。
どこか、自分の気づかないところが成長しているのかもしれないけど、わからない。
身長が伸びたわけでも、体力がついたわけでも、足が大きくなったわけでもない。
伸びしろがあるといわれた、高校の先生のあの言葉はどこにもなく。
ただ爪と髪だけが伸びる毎日。
伸びたら伸びた分だけ切らなきゃいけない。
私はもっと伸ばしたいのに、好きなように伸びていきたいのに。
伸ばしすぎると邪魔になる。
私の伸びるところ、ほかにどこがあるっていうの。
ただのでくの坊の、何もできない小さな小石みたいなものなのに。
なんで髪ばかり伸びるんだ。
髪には神も穢れも煩悩も宿っているらしい。
真希波・マリ・イラアストリアスが言っていた言葉。
アスカに対して『姫がまぎれもなく人間である証拠』として口にした言葉。
あの世界でアスカはクローンだったことが分かった。
自分の居場所なんてない、自分は戦うために作られた、プログラムされた存在。
そう思い続けてきた彼女を、元気づけるための言葉だったと、後になって分かった。
責められて、迫られて、自分の中の本音が浮かんでくる。
この伸び切った私の髪は。
私の中に巣食う煩悩は。
私を脅かす汚らしい穢れは。
私の中に眠る見えない神は。
きっとまた私の成長を促してくれる。
私は人間だから、まだまだきっと成長できる。
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