19日目 ボードゲーム

彼曰く、みんなで遊ぶのはやっぱり楽しいね。


 ***


同期に呼ばれてボードゲームをしに行った。

ずっと前からやりたいと言っていて、コロナだなんだで先延ばしになり開催されずじまいだったけど、ついに重い腰を上げて決行するらしい。


土曜に外出するのはめんどくさいんだよなぁ。


遊ぶといっても私はだれかと遊ぶのが苦手。

そのくせ誰かと一緒にご飯は食べたい人間。

子供のころから宿題を学校でやって、帰ってきたら習い事か進研ゼミをする日々だったので、学校から帰って公園にサッカーしに行ったり、部活をすることもなかったので、勝手がわからない。

さすがに中高は部活に入っていたけど、漫画やドラマなんかでよく見る遊び、ゲーセンやショッピングなんかはしたことがほとんどなかった。

大学でもバイト漬けだったし、遊ぶとなると自分一人で完結するソロプレイゲームやソシャゲだった。


出不精な性格は昔からだけど、動かなくてもいい日は動きたくない人だから、土日に誰かの家に遊びに行く目的で動くことは本当に久しぶり。

映画見たり本屋行ったり外食したりするのは面倒じゃないの、自分一人でも完結することだから。

コロナもあって誰かと遊ぶ誘いもしづらいしね。


案の定約束の時間に間に合わず、1時間後に合流。

この程度では怒られないから今の同僚は付き合いやすい。

雨が降っているのが悪いんだ、私は雨が降ると行動力が普段の3分の1になるんだから。

文句は雨に行ってくれ、雨に聞く耳があるのなら。


さてどんなボードゲーム?と思ったけど、見覚えのあるゲームだった。

ナンジャモンジャゲーム。

ちょっと前にQuizKnockの動画で伊沢さんたちが遊んでいた。

操作は簡単、山札から1枚ずつカードをめくり、場に出していくだけ。

カードに描かれたナゾのキャラクターに自分で名前を付けて、そのキャラが出てきたときに正しい名前を呼べれば場に出ているカードをもらえる。

最後に一番多くのカードを持っていた人の勝ち、というシンプルなもの。


自分で名付けたものだと覚えやすいが、そのキャラに関連性のあるものだとみんなに覚えられやすい。

自分はちゃんと名前を呼べて、かつほかの人が覚えにくい呼び名にする必要がある、奥が深いゲームだ。

やればやるほど前世の記憶が舞い戻ってきて、ひとつ前の世代の名前を呼んでしまうこともしばしば。

強烈な名前を付けてしまうと、前世に引っ張られてしまうから一種の賭けでもある。


ひたすらこれで遊んだ。

ほかのゲームもやったけど、一番盛り上がったのがこのゲームだった。

一番秀逸だったのは、青色ひし形、サングラスをかけたキャラ。

名前は”夏の思い出”。

概念という新しいアプローチ、この印象が強すぎて全然抜けなかった。

夏にはまだ早いけど、初夏のいい思い出になる1日だった。

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