10日目 吉祥寺Walker

彼曰く、およそ6年ぶりのムック本です。


 ***


近年、あるテーマに重きを置いたキュレーター雑誌はもはや当然のように市場に出回っています。


いわゆるムック本。


例えば映画のことであれば、新旧様々な映画のワンシーンの意外な共通点を指摘して、人間の感情の変化というのは今昔不変のものだと言ってみたり。

例えば漫画のことであれば、古くは鳥獣戯画や風刺画として親しまれていたコミカルな絵画が、ストーリー性に膨らみを持たせて勧善懲悪や社会の闇、人間の感情、倫理観など様々な善い面と悪い面を描こうとする力はずっと続いていると感動してみたり。

例えば建築のことであれば、古来より伝わる日本の伝統的な建築技法、釘もねじも一切使わずに震度9の地震にも耐えうる美しい寺社仏閣を造り上げてきたその技術は現代でも残っており、実は私たちの生活をも下支えしてくれていることを発見したり。

例えばファッションのことであれば、流行は常に移り変わるが、そのスパンは数年単位で繰り返され、それまでの潮流の影響を若干受けることで全く新しいファッションとして次第に浸透していくことに気づいたり。


そしてムック本というのも、実は近年になって始まったことではない。

およそ70年前から同様の出版物は市場に現れており、1970年代には多くの婦人雑誌の別冊や臨時増刊として1000点以上のムックが出版された。

これまでの文字を読む雑誌とは違い、ビジュアルに特化した見て感じる雑誌として、瞬く間に市場に出回っていったのです。


そして今日私は手に入れました。

巷で話題の1冊を。

それが『吉祥寺Walker』

吉祥寺に特化したムック本で、なんと6年ぶりの刊行なんだとか。

6年前といえば私はまだ華の大学生。

今日も元気にたこ焼きを焼きながら学校帰りにやってきた中高生や家族連れに売りさばく生活をしていましたね。

いやぁ、懐かしい。

横浜の人たちはお変わりないでしょうか。

私はいま、おしゃれの町吉祥寺で日がな寂しく過ごしております(あれ)。


メインで取り上げられているのは最旬グルメ。

コロナ禍にもかかわらずオープンした新進気鋭のレストランや、テイクアウト専門店、穴場のカフェなどをここぞとばかりに紹介しています。

そのほかにも吉祥寺にまつわるあれこれや雑貨店情報、吉祥寺に住む人なら知っておいて損のない雑学などもまとめてくれています。


吉祥寺に住むこと3年。

実はこの街のことなんて何も知らなかったんだなと気づかせてくれました。

まさかわれらが福沢諭吉大先生ゆかりの蔵が移築されている街だったとは。

福翁自伝にそんな情報あったっけか。


ともあれ吉祥寺で新しい味を求めているあなた、自粛ばかりで自炊ご飯に疲れてきたあなた。

ぜひ手に取って見てほしい。

開いたページのその店が、あなたの行きつけになるかもしれませんよ。

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