5日目 GW
彼曰く、いいGWだった。
***
休日の過ごし方は人それぞれ。
休むもよし、遊ぶもよし、運動するもよし、ゲームするもよし。
ただただ寝るもよし、異性と触れ合うもよし、家族と戯れるもよし。
楽しみ方、休み方は人の数だけある。
人の数だけ休み方があるなら、つまりそれはいろいろな休みの過ごし方があるということだ。
昨日の日記のように、私はひたすらに食を求めた連休だった。
テーマは2つ。
”毎日外食をする”、”なるべく行ったことのない店に行く”。
1つ目は普段の平日だと仕事の合間を縫って行きたいお店に行こうとすると、ちょうどその時間が閉まっていることが多いから。
時間的縛りがあるのはこの仕事をしているうえでかなりの制約。
自分次第でどうとでもなるが、あまりにも長い時間職場を離れると心配をかけるし、後輩の前でふしだらな感覚を見せびらかせるのはいけない。
これでも先輩、多少の世間体は気にする大人なのだ。
とすれば休日に行くしかないのだが、休日は休日で平日にできなかったことをまとめてやることが多いので、気合と覚悟と下準備をしないとなかなか達成することができずにいた。
今回の長期休みを使わない手はない。
2つめは単純、新規開拓をしたかったから。
リッチな生活をしているわけではない、最寄りがおしゃれな若者の街・吉祥寺とはいえ、住んでいる家はぼろいし、生活能力が低いから最低限の手入れしかしていない。
そんな鬱屈とした場所に長いこといると、はっきり言って気が詰まるし退屈。
退屈を紛らわせるには外に出て、しかも行ったことのないところにいくのが一番。
「今日はラーメンにするかー」
と思っても、結局いつもと同じところに行きたくなってしまい、こんなにたくさんの店で溢れている街の一部しか楽しめていないのだ。
何てもったいない、宝の持ち腐れ、住まいに泥を塗っているようなもの。
すでに汚い住まいをこれ以上みすぼらしくしてどうするのか。
もう少し着飾って、見栄を張ってもいいんじゃないの?
ここは若者の街、自由の街、吉祥寺なんだから。
そんなわけで、私なりに考えた結果、毎日新しい店の開拓することがこのGWの個人課題になった。
そして無事達成した。
寿司ランチに始まり、ラーメン、天丼、牛カツ、カレー、また牛カツをはさみつつ、卵サンドとアップルパイ。
牛カツは休み中に会った友人と一緒に行くことになったので致し方なし、でも1度目はグランドメニューで、2回目にランチを食べているから実質新規。
情報は常に更新されるのである。
振り返ってみればすべてハイカロリー、健康のことなど考えていない。
お金もそれなりに飛んだ(さよなら先生)。
でも後悔はしていない、大変満足させてもらった。
緊急事態宣言で相手の顔色はうかがえないが、誰かと言葉を交わすことで暖かみを感じることができた。
牛カツのお店の大将がすごくにこやかに接客してくれて、また来たいと思わせてくれたのも、人情が溢れていたからだろう。
食べた中で一番心に残る、美味しいご飯だった。
美味しさは味だけじゃない、人も大切なんだ。
これこそグルメ、人情を味わう体験。
”Gourmet Week”、これにて終了。
ごちそうさまでした。
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