13日目 今週も今週とて

彼曰く、やるべきことが多いときほど人間が見えてくる。


 ***


今週は打ち合わせが多い。

ような気がする。


火曜日と金曜日にあるだけ。

それぞれだいたい2時間から3時間くらい。

ちょっと長めだけど、でもそれだけ。

傍から見たら落胆してやる気をなくすほどじゃない、むしろ仕事が終わりに近づいているサイン。

だけどこういうとき私の中には2人分の人格が入っている。


1人は真面目な仕事人、天使梅ちゃん。

自分の領分を自分の責任の下、最後までこなそうと奮起して、時には人並み以上の活躍を見せる。

てきぱきと仕事を進めていくタイプで、ひとたび集中することができればしばらく他のことは耳に入らない。

唯一の敵は食欲くらいだけど、それもなんとか水やらコーヒーやらで撃退している。

頑固だから時々失敗することがあるけど、生真面目で姿勢がいいので、自己評価も他からの評価も高くなりやすい。

よく言えばしっかりもの、悪く言えばバカ真面目。


天使梅ちゃんが乗り込んでくれば私の脳はかなりの回転量になるから、その日の最後は疲れるんだけどいい意味での達成感の方が強いから、アドレナリン出まくり。

シャワー浴びた後に飲むビールが一番うまく感じる。

いつもそんなふうに思えればいいんだけどね。


たいていはもう1人の住人、悪魔梅ちゃんが居座っている。

なぜか天使梅ちゃんは外出しがちで、鍵もかけずに出かけるから、よく悪魔梅ちゃんが侵入して自分の部屋のように荒らしていく。

いや、自分の人格なんだから自分の部屋なのは当たり前なんだけど。

でも少しくらいは自重してほしい。

やる気のなさの割合が多くて、少しばかり仕事をしだしてもすぐに他のことで気が散ってしまう。

食欲と睡眠欲の権化みたいな存在だから、悪魔梅ちゃんがいる間は仕事の他に別のことが頭に浮かんでしまい、仕事の効率が極端に落ちる。

気づけば夕方、なんてこともままある。


うら若き乙女心がかどわかされ、大事なものを失ったように脱力系になってしまう。

せっかく動かす頭があるのにそれを使おうとせずに欲望に従って突き進んでいく。

どうしようもないクソニート、それが私。

言ってて悲しくなっている自覚があるんだけど、それでもやめられない私。


生きるって罪よね・・・。


まあでも乗り切れば次の仕事に向けて集中できるし、打ち合わせの下準備自体はかなり終わっているから、今週はそれほどやる気が出ないわけじゃない。

本気を出すのは別のところで取っておきたいし、そもそも仕事で本気を出したくない自分がいる。

本気を出さずに済むように下準備をしたのだから、無碍にしたくないじゃない?

だからと言って本気でやらないのはよくないけど。

一番いけないのは、本気の出し方を忘れちゃっていること、なんだよね。

天使も悪魔も、本体も、口をそろえてそう言っている。

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