2日目 人生初の

彼曰く、私の始めては生まれたときに始まっている。


 ***


初めてやることっていうのは不安でいっぱい。

調べて知ったこと、調べてもわからなかったことが混ざっていく。

わからないというのは不安を育てる肥料だ。

どうなってしまうのかという疑問の種が植えられた瞬間、

わが子を得たようにすくすくと育ててしまう。

自分の思考の畑は狭いのにどんどん無駄なものが増えていく。

疑問というのは雑草に似ているんだ。

知らない間に増えて畑の大部分を占めてしまう。

育てるべきところの栄養も奪っていってやりたい放題。

小学校のガキ大将だったケイちゃんみたい。

ケイちゃんはいいやつだったけど、雑草はそうじゃない。

肥やしにもならないお邪魔草。

刈るストレス、刈っても刈っても気になるやつだ。

気が散らされて困ってしまう刈り続けたら夕方になってる。


だからいろいろ聞いてしまう。

はじめてのこと、何が始まってどう転ぶのか、どう終わるのか、何が変わるのか。

自分のことならなおさら理解するのは大切だ。

変化を喜ぶのも必要と偉い人は言うけれど、それは理解して予測しているから。

予測通りに変わったとき、人は喜ぶことができる。

コーヒー片手に窓際のソファに座って薄く笑うことができる。


「ほら、すべて予想どおりだよ、ワトソン君」


そんな声が聞こえてきそう。

でも自分のこととなれば驚きの方がいい。

喜びはその先にあるもので、予測されたものでなければなおよし。

曖昧な考えで予想もできず、完成像が浮かばない。

靄がかかっていたものが一気に晴れて今までとは違う姿になる。

それこそ新しさというものじゃなかろうか。


初めてのもの、新しいもの。

入学、就職、引っ越し、出会い。

新しい舞台に求められる、今までの人生になかったもの。


インスタで投稿をし始める自分。

ホールの接客から厨房のコックになる自分。

将来のために積立とか投資とか貯金を始める自分。

主張先でチームリーダーとしてプレゼンする自分。

文化系サークルから離れて体育会系部活動に入る自分。

海外赴任で引っ越し先でルームシェアをする自分。


いろんな初めてが待っている季節がやってきた。

新たな挑戦、してみては?

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