30日目 暗殺教室

彼曰く、殺せるといいですねぇ、卒業までに。


 ***


久しぶりに読みました。

『暗殺教室』松井優征の人気作。

アニメ化だけでなく実写映画までやった作品で、

それも成功したといえる部類のものだと思います。

ここのところ暇な時間、もとい執筆の気分が乗らないときは漫画を読んでます。

(まあここのところずっとですが)

少年漫画、少女漫画、青年漫画、

好きなものは好きでニッチなものまでは食指が動きづらい。

割とポピュラーなものに食らいつき、飽きたら次の作品に行く。

逆にハマればとことんそればかりに夢中になる。

ミーハーなんです、私。

今この時期に『暗殺教室』を読むことがミーハーに当たるかはさておき。

アプリの『少年ジャンプ+』を眺めていたら、4巻まで無料だったから。

読み始めるきっかけなんてそんなもので。

たまたま眺めていた広告が、たまたま気になって、

たまたま試し読みができたから読んでみた。

街頭広告に見事に釣られて化粧品を大量購入してしまうOLのように、

4巻まで読んで最後まで読みたくなった私はすぐさま電子書籍で購入。

実家に帰れば全巻揃っているような記憶は封印して、

目の前の欲を満たすためにクレカを使います。

大人の欲望、抑えられんわぁ!


連載当時から面白かったですが、いま改めて読んでも面白いです。

1話の2ページ目で全員が起立をすると同時に銃を構え、

その次のページでは発砲しているんですから、

何が起こったかわからず混乱した頭のまま理解を進めようとして、

どんどんページをめくっていってしまう。

人間が快楽を感じる瞬間の1つに興味の源泉を突き止めようとすることがあります。

なぜこの中学生たちは銃を持っているのか。

なぜ黄色いタコ型生物が中学生の先生をしているのか。

なぜ誰も疑わずにこの生活をしているのか。

ページをめくればその答えがあるかもしれない、原因が分かるかもしれない。

そんな期待と、次の展開がどうなるかという期待。

思考の先に待つ光を求めて闇を進んでいくのと同じで、

その先まで読めば納得することができる、面白いと思えるはず。

だからこそ読む手が止まらないのです。

このマンガのいいところは、題材に教育を使っていること。

主題から言えば暗殺になるんでしょうけれど、主人公たちは中学生。

舞台も学校であり、行事やテスト、勉強も普通にこなしています。

ちょっと待遇が違うだけで他は普通の中学生26人は、

読み手であろう学生と同じ、ごく普通の一般人です。

得意科目、苦手科目、長所短所、好き嫌い、将来の目標、人生観・・・。

一癖も二癖もある中学生が、成長するにあたり自分とどう向き合うか、

先生と生徒、暗殺目標ターゲット暗殺者アサシン

2つの立場を両立しながら生き方を考える彼らは目覚ましく成長します。

基本的にマンガの主人公というと1人に限定されがちですが、

このマンガでは26人、途中増えて28人の生徒全員が主人公だといえるでしょう。

教室での主体はあくまで生徒。

圧制を強いる教師は教師にあらず、

生徒の自主性を重んじて成長を見守る存在であれ。

今の日本の教育に足りないものだと感じます。

助け合い、ときに反駁し、自分たちでどうするかをしっかり考えて結論する。

私がちゃんとやってこなかった大切なことを中学生がしているのを見ると、

大人になった今でも学ぶべきことを多く感じます。

るべき時にるべき事をできない者は暗殺教室では存在感を無くして行く』

期末テストを舐めてかかり失敗した生徒に殺せんせーが放つ言葉。

るをやる、暗殺教室を社会に置き換えるだけで、大人にも言えるし、

他にもさまざま言い換えればさまざまな立場の人間に該当します。

自分がどう成長するか、自分の持つ力をどう扱うかを理解して、

自分らしく生き抜く力を身につける中学生の成長は目覚ましいです。

最後には殺せんせーの正体や過去の真実も明らかになり、

気持ちのいい終わり方でした。


学校の卒業は大人の始まりですが、

人生の卒業は死を意味します。

卒業までをどう生きたか、それこそが人生なのですから、

個々の生き方を尊重して、これからを生きていきたいですね。

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