誰かに向けてるひとりごと

11日目 成人

彼曰く、大人ってなんだろうね。

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今日は成人の日、らしい。

世間的にはそういう日だとされている。

大人たちが自分のことを”大人”だと認めてくれる日。

自分たちが”大人”の仲間入りを果たす節目の日。

毎年色んな土地の、色んな種類の成人式が開催される。

すべてに参加するわけではなく、自分の地元のものにしか参加しないけれど、

ニュースを見るだけで私たちの新しいスタートが来たんだと感じる。

大人として、社会人として、

今までちょっと舐められていた生活から少しだけグレードアップした世界。

きらめいて、ワクワクさせてくれる、不安もあるけど楽しみな世界。

その入り口に立つことができる。

その実感ができる場こそが、成人式だと私は想像していた。

成人の日。

私はテレビを見ることもなく、スマホをいじりながら寝転がっている。

大きなイベントごとが好きな私は、大人の節目の日を静かに迎えている。

カレンダーに赤ペンで大きく書かれた成人式が行われることは、

今年に限っていえば無くなってしまった。

全部全部、コロナのせいだ。

去年から収束する気配もなく、年末からはむしろ勢力を増してきたウイルス。

誰もが静かな脅威に不安を覚え、外に出ることを控えている日々。

遊びたいし、ご飯も行きたいし、友達にも会えない。

社会人になったら自由な時間がなかなかないから、

今のうちに遊んでおきなって親戚のお兄さんが言ってたけど、

遊びに行けない今ってコロナだから？

それとももう大人になったから？

でも普通の大人は働いてるはず。

働けなくても何かしらやることがある人が大人だというなら、

私は働いてもいないし、やりたいと思っていることも別にない。

大学の授業はオンラインだし、終われば単発か短時間のアルバイト。

休みの日もバイトか課題。

でも遊びにも行きづらくて課題なんてすぐ終わっちゃう。

バイトも営業時間が短くなってるから、やれることはだいぶ少ない。

結局家に引きこもって置いてあるお菓子を食べながらスマホで漫画。

時間になったらご飯を食べて、歯を磨いてお風呂に入ってまたスマホ。

退屈を紛らわしてくれるのはネットの世界にいっぱい転がっている。

でも自分にとっての何かをしている気分はない。

”大人になったら何か誇れることをしなさい”なんて言われたことがあったけど、

誇れることって何だろう。

働くことなのか、誰かのために生きることなのか。

少なくともスマホをいじる毎日を過ごすことではないと思うけど。

自分のためにさえどう生きればいいのか分からないのに、

他の誰かのために生きることなんて、私にはできそうもない。

世間的には大人になる日。

果たして私は”大人”になったといえるのだろうか。