26日目 恋人
彼曰く、本当に欲しいものなのか?
***
同期の面白い話。
世間はクリスマスムード。
それを恨めし顔で過ごしている同期がいました。
それなりに話す仲ではありますが、恋愛系の話はあまりしないので、
それとなく別の仲良し同期に聞いてみました。
どうやら彼は今年の目標を達成できなかったそうで。
それは「今年こそ恋人を作る」というもの。
今までできたことがなく、毎年「今年こそは・・・!」と思っているらしい。
今年の抱負も例年通りのものだったようですが、
クリスマスぼっちは避けられなかった様子。
それはまあ、なんというか、実に残念と言わざるを得ませんが。
ここで慰めの言葉をかけるのもなんか違いますし、
とりあえずどのあたりが面白いのかを聞き分けようと思います。
同期にとっては今年はだいぶ気合を入れていたのだそうです。
同期は私より半年遅く入った中途にもかかわらず大変な仕事に回されがちで、
のんびりと仕事ができていた私と違い、随分と忙しそうでした。
そんな同期が恋人まで作ろうと奔走しているとは思っていませんでしたから、
それは大変な1年だったんだろうなと想像してしまいます。
合コンに行ってみたり、婚活サイトを覗いてみたり、
出会い系アプリに手を出してみたり、友達から紹介してもらったり、
色んな方法を試した1年だったようですが、どれもアテが外れた様子。
つくづく不運な人だと思っていましたが、プライベートも不運がつきものとは。
どう転んでもいい未来が見えない。
不安に駆られて自信を無くしたのか、同期は尋ねました。
「本当に恋人なんてできるのかな?」
尋ねられた仲良し同期は答えました。
「恋人が欲しい。それは本当に君の欲求なの?確かに思っているのかもしれないけれど、それは自分の本能による純粋な気持ちなのか。それとも周りからの圧力によるものなのか?よく己に問うた方がいいよ?その後の行動は自由だけど、よくよく考えてから動いた方がいいんじゃない?」
哲学風な仲良し同期の返答を受け、同期は「分かった」と答えました。
そう言って、奴は小倉唯のクリスマスライブに去っていったのだそうです。
もちろん、1人で。
・・・他人の人生を笑えた義理はありませんが、
何も反応しないのも悪いので、結局笑うことになりました。
同期の残念話を嬉々として話す仲良し同期も、
何の気なさそうに聞いておいて爆笑している自分も碌な人間じゃないですね。
来年の同期の運勢がいいものになりますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます