12日目 逃走中
彼曰く、金のネックレス、50万円。
***
久しぶりにテレビなんてつけてみたんですよ。
うちにある小さいテレビ。
上京とともに親の寝室から拝借して以来、
ひきこもりがちの私を支えてくれていたSONYのBRAVIA。
たぶん、16インチくらい。
そんなに大きくありません。
大学時代はもっぱらゲームかアニメ用の画面でした。
今ではゲームかアニメか、映画鑑賞用になっています。
(あんまり変わっていないな?)
ただ最近はコロナくんのニュースを見るのが嫌で嫌で仕方がないので、
見たい番組がない限り、スイッチを入れないようにしています。
テレビから感染するとはもちろん思いませんが、
精神衛生上の問題です。
精神汚染は恐ろしいということを、エヴァンゲリヲンで知っています。
暴走した私は止められないのです。
何でも買おうとしてしまいます、お金ないのに。
テレビをつけたのは、何となく。
最近は自分の時間を作れるようになって、心の余裕が出てきたんだと思います。
見る番組を決めていたわけではなく、
面白いものがもしあれば流しておこうかな、くらいの気持ち。
私の世代にとってテレビ番組なんてそんななものになり果ててしまいました。
ちょうど放送していたのは放送中・・・、
じゃなかった「逃走中」。
芸能人がハンターと呼ばれる黒服たちから逃げ、
1秒ごとに加算されていく報酬金を獲得するために、
時折発生するミッションに挑みながら進む番組です。
最初に見たのがいつかは覚えていませんが、たぶん小学生くらい。
ようは大人たちが真面目に鬼ごっこをするだけ。
簡単ですね。
ミッションに果敢に挑む人、ハンターから逃げ切ることを目標にする人、
逃走者たちにはいろんな目的があって、
それぞれの信念や考え方によって行動しています。
合流する逃走者と協力したり、あえて囮に使って逃げ延びたり、
権謀術数が渦巻いて、逃走者とハンターが入り乱れるシーンは緊張感があります。
小学生のころはこれを見るために宿題を早く終わらせたりしていたものです。
当時、嫌だな、最低だな、と思っていたのは「自首」する人。
特定の場所に行き、ゲームを途中退場する代わりに、
その時点での賞金を獲得できる制度が存在します。
「仮にも鬼ごっこなんだから、最後まで逃げ切れ、根性なし!」
あるとき、逃走者の数人が自首をしたときにはがっかりでした。
聞こえないのをいいことにぼそりと呟いていましたから。
子供なりの正義感なのか、はたまた大人なんだから逃げてほしくないという、
身勝手な願望だったのか。
2番目だった気がしますが、とはいえ楽しんで見ていました。
今夜ではチョコレートプラネットの松尾が自首。
50万円以上を獲得して終了しました。
不思議なもので、今ではその選択が賢いと思えました。
自分の目的を持っていて、それ以上は求めない。
潔く、大人らしい選択だと思いました。
番組的には盛り上がりに欠けるものかもしれません。
最後に新庄剛志が逃げ切らなければ、炎上案件だったかも。
少なくとも昔の私の中では、間違いなく。
でも、途中でハンターにつかまった人たちの前で朗々と物真似を披露する松尾、
その顔は達成感にあふれて見えました。
羨ましくもあり、かっこいい。
大人になって素直になったのか、自首という選択肢に寛容になった私。
色んなことから逃げる辛さを知ったから、かもしれませんね。
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