15日目 パンケーキ

彼曰く、パンケーキ食べたい♪パンケーキ食べたい♪



先日食べに行った「幸せのパンケーキ」。


あの味が忘れられなくて、すでに食べに行きたくなっています。


今回はパンケーキについてでも語りましょうか。


 ***


パンケーキとホットケーキの違いって何だろうって、

大学で初めてお店に行ったときに思ったことがありました。


そもそも私はパンケーキという言葉に馴染みがなかったので。

庶民ですから、食のバラエティに乏しいのです。


のちにパンケーキなるものの存在を知る私ですが、

かの存在に会う前はホットケーキしか口にしたことがありません。


子供が最初に食べる初めての3時のおやつ。


そう言っても過言ではないくらいに、

私たち兄妹はこぞってホットケーキを食べておりました。


小学校に入る前はお母さんが作ってくれて、

ハチミツやチョコソースをこれでもかというほどかけて、

甘いスイーツを堪能していました。


 ***


小学校に入ってからは家庭科の時間が始まります。


学校で習い始めると同時に、

家でも料理をしてみようという課題が出たりもしました。


料理に凝っている方ではありませんが、

お友達には家で筑前煮を作ったという子が。


今でこそわかりますが、あんな高度な煮物を小学生時点で作れるなんて、

人生を1周オーバーしているんじゃないですかね。


あれを考え付いた過去の御仁の感性に脱帽です。


小学生の下には難しい複雑な味。

大人だからこそわかる味。


今となってはその子の親は何を思って筑前煮を作ってもらっていたのか、

むしろそちらの方が気になります。


子供に料理スキルを盗まれて、親としての威厳がなくなっていないか。


それで廃れる親も親でどうかと思ったりしますけど、

他人事なのでこれくらいにしておきます。


 ***


なぜホットケーキが家族内でホットな話題だったのかというと、

弟が頻繁に作っていたからです。


実家というのは便利なもので、

探せばどこかにおやつが置かれていました。


食べ盛りな子供にとっては格好の餌。

帰ってきて手も洗わずに飛びつこうとして何度叱られたことか。


育ち盛りの子供の食欲に対抗するためのせめてもの抵抗。

その結果が「食べたければ自力で作れ」だったのです。


私は面倒くさがりだったのでそれほど作りませんでしたが、

主食が小麦の弟は毎日のように作っていましたね。


学校から帰ってきてまずホットケーキミックスの確認。

地域によってはミックス粉とも呼ぶそうですが。


お供の牛乳がなければ私に買いに行かせるほどでした。


わが弟ながら小麦文化に毒されすぎでは。

同じ日本人であることを疑ったりもしましたし。

仮にも祖父母は米農家なのだから、もう少し米に対する敬意をだね、云々。


でも優しいのでときどきおすそ分けしてくれました。

私も単純なので屈してました。

同罪ですね。


私にとってのおやつ。

あの当時は間違いなく、ホットケーキがそれに当てはまります。


 ***


大学になって、パンケーキという存在と遭遇します。

池袋のとあるカフェにて、

鉄のフライパンにポンポンに膨れたホットケーキを発見。


しかし何ということでしょう。

メニューにはしっかりと「パンケーキ」と銘打ってあるのです。


私のこれまでのホットケーキ人生とは何だったのか。

驚天動地とはこのこと。


ホットケーキをうまく返せない私もきれいにひっくり返ってしまいまして。


美味しい美味しいと言いながら2つの違いを調べてみます。


どうやらホットケーキは日本独自の呼び方らしく、

世界的にはパンケーキの方が一般的みたい。


「平たいフライパン全体で焼いたケーキ」がパンケーキ。

つまり私が食べてきたホットケーキもパンケーキの1種だということです。


ではホットケーキとは何ぞやと思ったところ、

明治時代、海外の翻訳本で初めて紹介され、

とあるデパートの食堂で使われ始めたのが起こりだと言われているそうです。


つまり日本の古き良き名前の名残の1つということ。


純喫茶など、和風レトロなお店でホットケーキという呼称が使われているのは、

昔の人の感性を残しておこうという意思の表れかもしれません。


てっきり熱いうちに食べるものだからホットケーキだと思っていた、

弟につられて食べまくっていたころの私も、

知っていたらもう少し慎ましくいれたかもしれません。


 ***


逆にパンケーキは最近よく聞くようになった名前。


海外で人気のパンケーキ屋が、日本上陸することが増えたこと。

SNSの成熟によって、流行に敏感な若者がこぞって名前を使ったこと。

ニュースもお店も、話題や流行に乗るべく、

メニュー名にパンケーキを多用したこと。


いくつかの理由が挙げられますが、

一番の貢献役はInstagramに違いないでしょう。


写真とタグの影響力は強いですから。


ネットを見ればたいていの可愛いが投稿されています。


人類史上一番”かわいい”を詰め込みすぎた食べ物。


それが「パンケーキ」。


流行に乗るわけではありませんが、

かわいいを見逃すわけにはいきませんから、

早いところまた行っておかないとですね。


そうしないと、禁断症状が出て、

「パンケーキ食べたい♪」をずっと踊っていそうです。

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