16日目 感情

彼曰く、正直あなたみたいに感情的な人は私の目には眩しく見える。


やりたいことをやれないことを時間のせいにする。

「仕事の拘束時間が長くて・・・」

「家に帰ってからご飯食べてシャワー浴びてだと、もう寝たくなる時間でね」

なら朝起きてやればいいじゃない。

「朝はできるだけ長く寝ていたいのよ・・・」

「朝はボーっとしちゃってやる気がなかなか・・・」

「ぶっちゃけ朝から小難しいことしたくない」

ならいつやるっていうのさ。

そんなことじゃいつまでたっても本当にやりたいことが達成できないよ。

「まあね、そうなんだけどね」

「ゆっくりでいいかなって」


文章がなかなか出てこなくても、

自分の感じたことを記録できるだけ。

今はそれだけでも昔からしたら大きな進歩なんです。

毎日の勉強時間を決めて、

部活で集中する時間を毎回決めて、

取り組むメニューを真剣に考えて実践して、

大きな目標に向かって毎日を真面目に過ごす。

そんなころが今では懐かしく、とても当時のやる気は戻ってきそうにないけれど。

今できることは今できるように、

一つ一つを着実にこなす。

今はそれができることで精いっぱいだし、

意外に続いていることが奇跡のようで、

自分の中では嬉しく思うのです。


何かを続けるには集中も大事だけど、

達成感は大事なこと。

大きければそれは大きな喜びになるだろうけれど、

小さくても喜びは喜び。

嬉しいことに変わりありません。

ちょうどいいことに、私の仕様はツボが浅い。

些細なことでも笑うことができるし、

ちょっとしたことでも楽しいと思えてしまう。

逆に悲しみや怒りの沸点は高く、

激情に駆られることはあまりありません。

だからこそマイペースと言われている。


それが悪口だ、勘違いだと思ったことはあまりありません。

皮肉をもって言われても「まあそういう人間だから」で一笑に付す。

悲観的なところがないのはいいねと言われますが、

個人的にはどこかに感情を忘れてきた、

まるでロボットにでもなったかのような錯覚を覚えたりもします。

誰かの涙を見た時、

誰かの怒る姿を見た時、

誰かが苛立って頭を抱えている時。

それぞれ心に渦巻く感情は分からないことはないけれど、

それを体感することが少ない身としては、

やはり人間味を感じる部分だと思うのです。

激情にさらされ、感情をむき出しにして、

細胞から放つオーラから、髪の毛一本一本から、

沸き上がるものをため込んで一気に放出する。

それができる人はなかなかいないと思うのです。


良くも悪くも慎ましやかであることがよしとされる日本。

時々入る卑屈さは、昔からの口癖みたいになってしまっていて、

謙虚との違いは分かっているけれど、

言い訳のように使ってしまう。

それではダメだと思う最近はあえて返答をしないようにしています。

言葉にすればそこには驕りが生まれるから。

傲慢であることにいいことはないし、

それに頼ることこそ性根から傲慢であることを認めているようなもの。

時には自分の売りを素直に見つめ、

その価値を見直してみることも大切です。

そういうときこそ感情を押し殺し、

冷静になって今後に生かそうという姿勢を持つことが何より重要だと思う。


これから一生ついて回る自分の感情とどう折り合いをつけていくか。

感情を持てないと嘆く必要はないでしょう。

誰しも感情は何かしら持っているもの。

どのようにその感情を受け入れ、武器にし、利用するか。

それこそが私たちこれからのデジタル世代を生き抜いていくうえで、

自分を見失わないようにするために、

感情にとらわれて自分を守れなくなるのを防ぐためにも、

必要なスキル、能力なのではないかと思います。


とはいえ時には感情を忘れて自由を謳歌したいもの。

今日みたいに何も考えずボーっとして一日を無為に過ごすことが、

非常に素晴らしく合理的で全人類が毎日やるべきだとは思いませんが、

適度に感情から意識を離すことも意識してみてはいかがでしょうか。

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