15日目 動画

彼曰く、そのうち虚構と現実の区別もつかなくなりそうだ。


実は私のスマホに、

私らしからぬアプリが入っています。

私はもともと表に出るのが苦手なタイプ。

踊りや歌もうまくないし、みんなの前に出て発表は出来ればしたくない。

多分緊張で何も言えなくなるから。

だからみんなでコミュニ―ケーションを取ったりとか、

自分のことをSNSやネットに上げるなんていうのは、

育った私を見てきた両親などからすればあり得ないことなんです。

無駄なものはなるべく省くタイプの私が、

そんな自主性のない私がそのアプリを入れていることを知ったら、

周りは「以外だ」と驚くでしょう。

それが最近なにかと話題のTikTokです。

音楽や曲に合わせてダンスをしたり、

写真や普段の様子を動画にまとめたり、

動画が主体のSNSです。

自粛期間のあおりもあり、

もともとは高校生などの若年層の利用率の高いアプリでしたが、

最近は歌手や芸能人、女優などが、

自身の知名度アップや近況共有用に利用しており、

ファンにとっては嬉しいサービスです。

動画というその場の状況、

人物の表情や感情、見た目の分かりやすさが高く、

共感や感動を視覚的に得やすいことが、

Twitterとは違った魅力と言えます。

一つ一つの投稿も15秒くらいのものが多いため、

サクサクと色んな動画を見ることができるのも、

多くの刺激を求めている若い世代にはヒットしたのではないでしょうか。

おもしろいのは、芸能活動をしていない一般人が有名になる可能性がある点です。

動画再生は投稿を表示し続けている間はリピートで行われますし、

いいねボタンも押しやすいユーザビリティ。

フォローしている人以外のおすすめ動画も自動で紹介されるのですが、

そこに並べられるのは毎回違い、

公式マーク付きの有名人からいいねを全くされていないほやほやの新作まで、

全く無名の人でも再生数といいねさえ伸びれば一躍有名になることができるのです。

なにかぶっ飛んだことをしたい人は、やってみてもいいんじゃないでしょうか。


私はまあ、投稿はしていないんですけど。

見る専なんですけど。


そんなアプリに規制の動きが出ています。

何を根拠にしたのか、TikTokからユーザー情報が漏洩しているのではないか。

そんな懸念というだけで規制の動きが某大国で議論に出た影響で、

日本でもその方向に傾こうとしているようです。

最新テクノロジーを駆使する先進国がいろんなものを規制してばかりでは、

進むべきものが進まないのではないか。

自分で自分の天井を低くしているのではないか、

なんて考えてしまいますが、

現実的な路線で考えることも必要なんでしょうな。

外出自粛という社会にとっての危機的状況を少しでも紛らわすことのできる、

鬱憤を晴らす材料をこのタイミングで取り上げるのは、

ちょっとかわいそうにも思えます。

私も面白い動画を見られなくなってしまうのは少し残念ですし。

将来的には虚構が現実に追いつく日も近いんでしょうが、

コロナが収まらないうちは近未来的創造も差は縮まらなさそうです。


しかし動画と言う新しいコミュニケーションツールは活かせるはず。

リモート会議も広まっていますし、

もしかしたらこのまま会議がリモートメインになることがあるかもしれません。

今はまだ我慢の時ですが、

先の躍進があることを願って、

大人しく動画でも見ていましょうかね。

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