14日目 不調
彼曰く、ゲーミングおばあちゃんをずっと使ってたからね。
先輩がパソコンのお引越しをしていました。
曰く、同じ部屋の中で一番古い型のパソコンだったのだとか。
Intel第10世代、Core i7、16:9アスペクト比。
技術の進歩でどんどんパソコンの姿も様変わりし、
次世代機への準備も着々と進んでいる世の中、
新しい機械導入に今一歩足の届かないこの業界。
先輩の業界歴は長く、会社内では古株に入ります。
10年続けば古参と言われるような世界です。
フレッシュな考え方の人が残ることの方が少ない会社では、
環境を整えるだとか、
技術を効率よく利用するとか、
そうしたことがなかなか浸透していきません。
古くからのやり方で慣れてきた人ばかりが闊歩していて、
しかもそれで生計を立てているのですから、
パッと戦法を変えるなんてことは難しい。
織田信長が長篠の合戦で火縄銃の活用を成功させたり、
紙とペンではなく活版印刷技術による記録が広まったりしたように、
画期的な改革が起こることは難しい。
でも少しずつ調子の悪いところや、
不便で嫌だな、不快だなと感じることが解決するように、
新しいことを試してみる価値は存分にあると思います。
先輩がパソコンを新調したのもそうした理由です。
長く付き合ってきた機械にも、寿命はやがて訪れるもの。
人間は休むことが適度にできますが、
機械は一度電源を付けたらずっと起きているのです。
たとえ主人が転寝を始めてしまっても、
画面はついたままだったり、
ご飯を食べている間にずっと資料をダウンロードしていたり。
この社会での一番の働き者は人間ではなく機械なんです。
人間様が暮らすための社会、人間様を守るための法律はあって当然です。
最低労働時間、過労死基準、残業時間上限。
労働の義務の中で、死人が出ないように勧告が出る昨今であっても、
機械を守る法律はありません。
まだ、そのときではないんでしょう。
いつかその時が来るかもしれないけれど。
不調が来た現実はいつでも起こりえたことに変わりありません。
たとえ法律が守っていても過労死する人間がいるように、
動かしすぎて体を削る機械もあるのです。
「私がメールを一文打ち終わってようやく全文が表示されるのよ、ブンッて」
すっかりおばあちゃんですね。
不調と言うかもう完全に過労です。
老化現象始まっています。
話をして5秒後に「・・・ええ?なんて?」っていうのと同じです。
歳月を重ねてものはたいていそうなってしまうのです。
ゲーミングおばあちゃんという、機械を使いこなす人がいるそうですが、
それとはまた別のお話。
高齢になっても新しい技術に貪欲に挑戦する姿は素晴らしいです。
ぜひとも会社にはかの姿を見習ってほしいものですが。
そんなことより私はお金を貯めて、すっかり年季の入ったママチャリから、
シティランに向いたクロスバイクに一新したいです。
人が瞬間移動できる時代はいつになったら来るんでしょうか?
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