27日目 映画館

彼曰く、名作を、大画面で見る、感動も、大迫力。


今週頭に、大興奮するニュースを知りました。

『ジブリ作品を映画館で』。

そんなキャッチコピーのもと、日本を代表するアニメ映画が劇場公開するのです。


巨匠、宮崎駿監督の名作が3本。

『風の谷のナウシカ』

『もののけ姫』

『千と千尋の神隠し』


その息子、宮崎吾郎初監督作品。

『ゲド戦記』


しめて4本の映画が、銀幕に返り咲いているというのです。


日本人として。

あるいはいちアニメ好きとして。

ジブリ作品は何度も見返してきました。

見ていないものは少しあるものの、

名のある長編作品は全て、少なくとも5回は見ています。

それこそ、好きなキャラクターの台詞を覚え、

同じくジブリ好きな友人と掛け合いのマネをするほどに。

子供の頃は苦手に感じていた話も、

成長とともに見方も変わっていくもので、

噛めば噛むほど味が出るスルメのように、

面白みが絶えない作品ばかりだと感じています。

名作をスルメなぞに例えるとは何様かと言われてしまいそうですが、

時を経ても違う角度で切り込んできて、

新たな価値観、考え方を示してくれる作品である

という感想を、月並みであっても言いたいのです。


そんな子供の時分に興奮冷めやらぬ時間を与えてくれた、

思い出の詰まった作品群の中で、

特に好きなのが『もののけ姫』です。

東の果てに追いやられた一族の若者アシタカが、

突如現れたタタリ神の足跡をたどり、

自信に受けた呪いとその真実を探して旅へ。

その先で会うタタラ場の人々と女主人エボシ、

神への生贄となり、山犬モロに育てられた娘サン。

森と人との対立の渦中に身を投じたアシタカは、

森の主シシガミとの出会いを経て何を見定めるのか―――。


産業革命が始まった頃から叫ばれてきた、

人と自然との共生、生と死について切り込んだお話です。

これについて議論すると、きっとシシガミの森より奥深くまで行くことでしょう。

初めて見たのは幼稚園の頃。

ビデオデッキで見ましたが、もちろん意味は分かっていませんでした。

それでも自然豊かな森の風景と獣たちの姿、

人々の生き生きとした生活や表情が、

童心の好奇心をくすぐったのでしょう。

シシガミの首が飛ぶところからは怖かった記憶がありますが、

暇さえあれば食い入るように見ていたことを覚えています。


実家の小さなテレビでしか見たことのなかった『もののけ姫』。

かの名作を、なんと今日映画館で見ることができたのです。

大スクリーンで、大好きな作品を観ることができる。

自粛やなんやで世間の目が厳しい昨今。

自然とはまた別に、人との距離の取り方が考えられている時代に、

少しでも多くの人に映画館に来てもらいたい、

どうせ来るなら今の若者のために名作を映画館で見てほしい、

きっと多くの大人たちのそんな願いと祈りから、

今回のような上映に至ったのでしょう。

(そうであると信じています、ニュースは見ていないので知りません)

映画館関係者の方々には感謝しかありません。


大人になった今更で恥ずかしい話ですが、

今日初めて知ったこともあったのです。

聞き取れなかった台詞が聞こえたり、

セルだと思っていた部分が3Dだったり、

(『もののけ姫』は3DCGやデジタル彩色を取り入れた最初の作品。

そして、セル画と絵の具を使った最後の作品です。)

興奮とともに新たな驚きを感じることができたのです。

大きな画角で見て、高性能な音質で聞くという、

素晴らしい映画体験をすることができました。

ぜひとも作品の中身を日記に書き留めたいのですが、

今日はもう遅いですし、興奮冷めやらないですし、

日記の分は書けたのでここらで筆を止めておこうと思います。

今やネットで調べればたいていのことは分かる時代。

有名な作品であれば多くの考察が溢れ、

ネタバレもオチも知り放題。

それでもこんな機会はめったにない。

日本だけでなく世界を席巻した日本の芸術作品です。

ぜひとも映画館に足を運んで、

その目と耳と体で、興奮の渦に巻き込まれてほしいですね。

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