クラスメイトも召喚されていた件
~サイド 弘樹のクラスメイト達~
時間は少し戻り,弘樹が死んでしまったあの地震が収まったとき。このクラスの担任である石上はこのクラスに走って向かっていた。
「おいみんな,だいじょ⋯⋯。は?」
石上がドアを開けるとそこには誰もおらず,ただただ机と椅子が散乱しているばかりだった。
◇
(ん? ここはどこかしら)
意識を戻した石原が周りを見渡すとそこはどこかの王城のようだった。そして,近くにはクラスメイト数人の姿があった。石原は急いで友人の安否を確かめる。
「良かった。全員無事ね。しかし,なぜだか八人しかいなかったけど」
しばらくすると石原以外の生徒も起き出してきた。みな不安げに辺りを見渡すと石原の姿を見て安心する。彼女が学校でどのような人柄であったかがわかる瞬間であった。
全員が起き,いざ何が起きたのか話し始めたころ,目の前に老人が現れた。その老人は背はそんなに高くなくやせ型だった。だが言いようもないようなプレッシャーを放っている。そしてその老人はぬけぬけと,
「ようこそ,勇者様方。これから,私たちのために精一杯働いてください」
と言ってきたのだった。
そうその日,勇往歴455年。この世界,バリオニアの四つの国では地球から勇者を召喚したのだった。そして,運悪くその対象は廉価高校二年三組,つまり弘樹がいたクラスであった。
◇
~サイド 弘樹~
俺はあれからレベルを上げ続けた。その中で分かったことがいくつかある。
一つ目は,この魔窟についてだ。まあ,だいたいは解析鑑定から得た情報なのだが,魔窟は何回層もあり下に行くほど出てくる魔物は強くなる。そしてその階層だが,今俺のいる魔窟は相当でかいっぽい。今俺のいる階層は分からないが最初の階層から五解層ほど下がった。だが出てくる魔物はほぼ一発で倒してしまっている。やはり進化の影響が大きいようだ。
そして各階層にはそれぞれエリアボスという,普通のやつより強い魔物がいる。俺にとってはそいつも一発で倒せるから雑魚なんだが。
二つ目はこの世界ではスキルがとても大事だということだ。純粋な身体能力よりスキル。これからも進化したりして獲得していきたい。ちなみに獲得方法はまだ進化しか知らない。もしかしたら頑張れば他の方法でも手に入れられるのかもしれないが残念ながら俺にそれを知るすべはない。
ちなみにレベルを上げて言ったおかげで今8レベルまで行った。今のステータスがこれだ。
ミドルリザード
Lv 8
HP 5500(500)
MP 850(50)
攻撃力 2200(100)
物理防御力 340(20)
魔法防御力 255(15)
素早さ 850(50)
スキル 炎魔法下級Lv1
進化可能経験値 8/20
ん? 表記方法が変わっているような気がするな。まあ,こっちの方が見やすいからいいか。なるほど,カッコの中が上昇値なんだな。
それにしても,ステータスはだいぶあがったよな。ただ,スキルのレベルがどうやったら上がるのかがわからないんだよね。色々試していきたい。レベルについても,まあぼちぼち上げていきましょう。
さて,次の階に行きましょうか。最近雑魚ばかりでレベルの上がりが遅くなってきた。そろそろもっと強い奴と戦ってみたい。おかしいな。俺はもともとこんなに好戦的な奴じゃなかったはずなのだが。まあいいか。もしかしたら,俺が魔物になったことで性格も変わってしまっているのかもな。
ちなみに階を下がるのは普通の下り坂だ。階層のどこかに下り坂と上り坂がセットである。俺も最初見つけたときは驚いた。個人的には階段であってほしかったが。
あと,大事なことなので言っておくが,俺に上り坂を行くという考えはない。なぜなら俺が今いる階はたぶん浅いほうだろう。ここで勝てているからと言って調子に乗ったら外で死ぬからだ。おそらくだが,外には強すぎる化け物がたくさんいるに違いない。もし俺が今外に行ったら間違いなく一瞬で殺されるだろう。なんていったってトカゲだからな。俺は死にたくないので全力で強くなってから地上に出る。外の世界は怖いからな。まだ洞窟の方が過ごしやすい。
よし,そんなこんなでこれからの目標も決まったし,どんどん階層を降りていきますか。これから強くなれると思うとすごく楽しみだ。どうせだから強くなるなら最強になりたいな。
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