第166話 騎士団再編成。1

 黒髪雫は今すごく悩んでいた。

 自分が使える主であり愛する幼馴染は、自身の領地の開拓にかかりきりになっていて最近夜の相手が少ない。

 とか言うことではない。

 十分すぎるほどちゃんと相手してくれている。

 最近ではちょっと特殊なプレイにも発展してるほどである。


「って、違う違う。そんなことを考えてるんじゃないわよ。」

 首を振って否定する雫の前にはウルトゥムが座っている。

 実は雫はその悩みのことでウルトゥムに相談に来ていたのだ。

「ウルトゥムさん、勝手に私のモノローグをしないでください。

「すみません。最近つまらないので遊んでみました。」

 そう答えるウルトゥムはお腹が大きくなってきている。

 メイドの仕事も人に任せるようになてから、安静にと仕事がなくなってしまって暇になっているのだろう。

「皆さんが忙しい時期にすみません。」

「何をおっしゃるうさぎさん。今ウルトゥムさんが一番大変な仕事をしているのですよ。新しい命を生み出すという大変な仕事。」

「ありがとうございます。雫さんの番になたらワタシも頑張って協力します。」

「ありがとうございます。」

 自分の番、と言われて想像した雫が赤くなって、一気に紅茶をあおって誤魔化す。

 飲み干してソーサーにカップを置くとすかさずお世話のメイドがお茶を入れてくれた。


 彼女は再編されたメイドの中でもウルトゥムの側近でもあり、今の本来の小さい姿のウルトゥムを知るメイドだ。

「ありがとう。」

 雫がお礼を言うとそのメイドは微笑んで会釈した。


「それで雫さん、ワタシに相談とは何ですか。」

「それは――――」

 雫はカップの淵を指でなぞりながら口ごもる。

「――――あっ、出来たのですか。」

 何かを察したという風にウルトゥムが口にするが。

「ち、違います。まだです。まだ出来てはいません。」

 慌てて否定する雫。

「遠慮しなくても欲しく成ったらいくらでも作っていいのですよ。」

「いくら――――あ、あの、もしかして話、かみ合ってません。」

「ん?子供の話ですよね。」

「――――はい、子供の話です。その、いくらでもって。」

「ミツルの愛が尽きない限り、好きなだけ求めてイイと思いますけど。」

「確かにそうですけど。……でも今はダメですよ。」

「ダメって?」

「私が今子供を作る訳にはいきません。」

 雫がすっごくまじめな顔でそう言ったので、ウルトゥムは少し考えて、

「もしかして、避妊してるんじゃないですか。」

「……え~と。」

 口ごもる雫に対してウルトゥムはクワット目を見開いて口にした。


「まさか、――――お尻ですか!十全のをお尻で受け止めているのですか。ワタシだってまだお尻は――――」


「わあああーーー、わあああああーーー、わあああーーーー。違います。違いますからね。まだそっちではやってません。」

 雫は慌てて否定した。ウルトゥムだけじゃなくて世話役のメイドさんに向かっても。

「まだ――――っですか。」

「それは言葉のあやです。」

「ともかく、避妊しているのですよね。」

「ハイ。」

「何故です。」

「その、私。騎士団長に任命されちゃいました。」

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