第158話 ヤーガの大和のここがいい。4
「それではさっそくご教授ください。まずは何処から洗うんですか。」
ヤーガは隣に座ってタオルを泡立てているツィマットに訊ねた。
「くっくっくっ、それを聞いてしまうのか君は。」
「キティちゃんが悪い顔で笑ってる。」
「キティちゃん言うな。」
「えぇ~、いいじゃないですか。」
「ウチには似合わないよ。そんなの。」
「フリルたっぷりの服とか似合いそうですけど。」
「うぇ~。」
ツィマットはヤーガのセリフでゴスロリ(白いから正確には甘ロリ)姿の自分を想像してうめいた。
「やめてくれ、そういうウチで遊ぶようなことは。」
「分かりました。――――可愛いのに。」
「それより、お風呂に入る時に何処から洗うかだたよな。」
「はい、最初に身体を洗う決まりがあるならどこから洗うかも決まっているはずです。」
「バカ野郎!戦争を起こす気か。」
「はい?」
「お風呂で最初に洗う場所には古くから数多くの派閥があり、それに言及することで何度も争いを生んできたのを知らないのか。」
「すみません。何言ってるのか分かりません。」
「キノコとタケノコみたいなものだよ。」
ボソリと暁がつぶやく。
「は?きのこ?たけのこ?」
「???」
「いえ、気にしないでください。こっちの話です。」
「……とりあえず、何処から洗うか、そのこだわりは各個人のもので、それを決めることは戦争の火種となるのだ。分かったか。」
「よくわかりませんが、分かりました。大和の文化は無駄に深いということが。」
「よろしい。それを理解したうえで自分の洗い方を決めるのが正しいやり方だ。」
「分かりました。で、そのうえでキティちゃんの洗い方は?」
「色々わかってねぇえな。」
ツィマットはため息をつきながらも泡立てたタオルを片手にヤーガに見せてみる。
「ウチはまずは右手からだな。機械いじりで一番汚れるのは手だ。特に利き手の右手は汚れる。だから手を洗って大きな汚れを落としてから改めて体を洗う。この時足の先から洗うのがウチのやり方だな。」
ツィマットは足の指の間に手の指を入れてにぎにぎするように洗っていた。
「なるほどぉ。やっぱりキティちゃんは可愛いですね。」
「何でその結論に至ったか問いただしたいところだが、――――それよりあっつんは何やってるんだ。」
「え”?」
「あっつんは胸から洗う人ですか。」
「そ、そうよ。やっぱり汗って胸とか腋にかくじゃない。だからここを重点的に洗ているのよ。」
「それにしても洗いすぎじゃないか。泡が山盛りじゃないかい。」
「まるで巨乳の様です。」
「ぐっふぅ。」
「あぁ、そう言うことね。まぁがんばれ。」
「……いいもん。兄さんに揉んでもらうもん。」
「そう言えばあっつんってダーリンの側室なんですよね。しかも兄弟でもあるんですよね。」
「そうだそこが聞きたかったんだ。」
うなだれていた暁が急に顔を上げてヤーガに詰め寄るように問いかけた。
「なんでヤっちゃんは兄さんのことをダーリンて呼ぶんですか。」
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