第156話 ヤーガの大和のここがいい。2

 それはまた別の日のことだった。

「いい湯だな、ハハハァン。」

 ヤーガはお風呂に入っていた。


 メタなことを言うと、お風呂回である。

 つい直前にクームの入浴回があったのにまたすぐにお風呂回とはどうしてだ。と、言われそうだが、双子なんだからクームがお風呂回あるならヤーガにもお風呂回はあるべきだろう。

 まぁ、こっちは熱湯じゃないのだが。


 フンフンフーン、と鼻歌交じりでお風呂に浸かっていると。

「おっと、失礼。先客がいたかい。」

 と、浴場の入り口から声が聞こえて来た。

「これは出直した方がいいかいね。」

 そんなことを言っていたので、

「大丈夫ですよ。そちらが嫌でなければご一緒しましょう。」

 と、答えて誘ってみた。

 この大浴場は檜と言われる香りのいい木材を使った浴槽が広々としている。

 1人で入るには広すぎるものだし一緒に入ってもいいとヤーガは思ったのだ。

 クームはそこらへん嫌がりそうだが、ヤーガは大和の文化に興味があり、お風呂は大人数で裸で入る文化があると聞いていたのでこの機会に誘ってみたのだ。


「それじゃぁ、失礼しますよっと。」

「お邪魔しまーす。」

「あら、あなたたちは。」

「おやそちらさんはボリアの客人じゃぁねーか。」

 入って来たのは2人。

 1人は小柄であけっぴろげと言うか、男らしい立ち姿をした女の子。

 白い肌に黄土色の短い髪で胸が無ければ男かと思ってしまうようなものだが、改めて裸を見るとちゃんと女の子だった。

「ヤーガはヤーガ・オニックスです。よろしくお願いします。」

 湯船の中で正座して頭を下げたらお湯に顔が浸かった。

「はっぷぁ。は、鼻にお湯が入った。

「はははー。面白いやつやね。ウチはツィマット。」

 ツィマットは持っていたタオルを肩にパンっとかついで名乗りを上げる。

「このフルボッキ領の開拓において技術部門の総括を任されている、柳・ツィマットってぇモンだ。ヨロシクな。」

「おおう、貴方が技術部門の総括。意外な人物でびっくりです。でも、会えて嬉しいです。」

「そうかい。」

「ヤーガは魔法を教えるために来ましたが、それと同時にこの大和の文化を学びに来たのです。大和の技術者様に会えるのを楽しみにしてました。」

「そう言ってくれると嬉しいねぇ。そういやアンタのツレは?」

「アレは部屋でダレてます。それよりそちらの方は確かは。」

「久しぶりかな。暁です。東雲 暁。」

「異界探索の時の副官ですね。改めてよろしくです。」

 暁とはこの領に来た時に挨拶したときに顔合わせをしている。その後の異界探索でも傍にいたが、異界探索では神鎧領という大和の新兵器を纏っていたのでその顔をしっかりとは見れなかった。

 そして、今までも彼女とは話す機会が無かったのでここで会えたのは僥倖だ。

「あの、お2人ともよかったらお風呂入りながらお話をさせてもらえませんか。」

「ウチは構わんよ。今日の仕事は終わったからな。」

「えへへ、私はもちろんOK。むしろ私こそヤーガちゃんに聞きたいことがあったんだ。」

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