第150話 クームの受難。2

 熱湯コマーシャルを知っているだろうか?


 熱湯コマーシャルとは平成の日本で生まれたバラエティーネタである。

 日曜日のお昼という時間帯に放送されていた番組のスーパージョ〇キーの看板コンテンツでもあった。

 ちなみに、スーパージョ〇キーのMCがふざけるほうのビート〇けしだったことから内容はお察し、である。

 内容の概要はこうだ。

 日曜日のお昼という高視聴率な枠で、何らかの宣伝をしたい人が参加するイベント。

 その人たちの宣伝時間は熱湯風呂に浸かっていられた時間だけ宣伝できるというものだった。

 このコンテンツが人気だったのはいくつかの要因があるが、最大のモノが、熱湯風呂に浸かる人がルーレットで決められることであった。

 その担当が宣伝したい人が用意した人物、お色気担当のアイドルグループ、ハズレ枠の男性陣。とあった。

 そしてお色気担当の女性陣が当たれば、丸いカーテンで囲われた中での生着替えだったのだ。

 もちろん放送事故もあったし、当時を知らない若い世代からしたら信じられないことだろう。

 しかし、本当に人気があったのだ。

 その証拠が、

 ハズレ枠の男性陣にダチョウ俱楽部の竜ちゃんが居たのだが、彼が入るのをためらって、「押すなよ、いいか押すなよ。っ絶体だぞ!」と言ったところで後ろから押す、というお約束を生み出して定着させたコンテンツと言えば、人気だったのもうかがえるだろう。


 その熱湯コマーシャルのセットと、話したいことがあるというクームが一緒に出て来た。

 ……え?やるの。

 ちなみに、ここに集まった者は雫、ヤーガ、ツィマット、棟梁、暁、他数名。

 平成の日本を知らないみんなは頭に?マークを浮かべている。

 唯一、平成を知る暁だけが笑いをこらえてプルプルしていた。

 お前何歳だよ!


「それではまずはルーレットを行ってみましょうか。」

「って、ちょっと待てい。」

 進行を務めるウルトゥムに十全がついツッコむ。

「とりあえず、熱湯コマーシャルはいいとして、なんでルーレットの内容が入るヒトじゃなくて水着になっているんだよ。」

「そこはほら、いきなり関係ない人を巻き込むのはよくないと思いまして。」

 さっきから頭に?マークを浮かべているクームからして説明されてないだろ。

 それはいいのか。

「とりあえず、それはそれとして、水着の種類がビキニ黒やワンピース花柄、スク水白なんかは分かる。スリングショットやブラジリアン水着ってのもネタ枠って思えてありだと思うさ。でもな、―――――タワシってぇなんだよ!タワシってぇ。」

 さすがにそれはないと思いツッコミを入れる十全。

「タワシってこういう時のお約束じゃないんですか。」

「違う番組~~~~~~~~~~~~~~。」

 頭を抱える十全に首を傾げるみんな。暁だけが大爆笑。

「まさか、タワシを水着代わりに着せたりするつもりか?」

「え?着せないのですか。」

「着せないよ。」

「…………。」

「…………。」

「それじゃあ、タワシが当たんないように、ルーレットスタート。」

「進めんな。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る