第122話 ボリアの使者。1
「それでなぜ自分は呼ばれたのでしょうか。」
十全は帝都にて紅玉帝陛下に謁見している。
場所は全開と同じく無間の間であった。
「まずはそちらのジジイがこーちゃんが墜とした竜かえ。」
そう陛下は問うてきた。
「はい、陛下は会うのは初めてですか。こちらが今家で執事をしています、ヴォルテールです。」
今回、陛下への謁見にはヴォルテールも招聘されていた。
「お初にお目に掛かります。ヴォルテールと申します。此度はこのような老骨が拝謁出来て、光栄の極みです。」
そう言って恭しく頭を下げる。
ヴォルテールってどこかずれた駄竜のイメージがあるが、(主にウルトゥムの言い分により。)こういう場所での所作はその渋い見てくれを損なうことない立派なものだった。
「よい、堅苦しいのは無しじゃ。この場はオフレコじゃ。」
しかし、陛下はそう言うの気にしない人だった。
「陛下、オフレコではなく無礼講ではないですか。」
朱居さんが各人に飲み物を配りながらツッコム。
「ならば酒が良いのじゃが。」
「それは大切なお話が終わってからになさいませ。」
「仕方ないのぉ。そうゆう訳で早速本題に入りたい。」
陛下はお茶を口に含んで「あちち。」と言って舌を出しながらそう告げた。
どうやら猫舌のようだ。
「はい。」
十全はお茶には手を付けない。
朱居さんが猫舌の陛下にあえて熱いお茶を出した意味を理解できたから。
「まず朕からの話じゃが、松永の、おぬしに貸し出す中隊じゃが、これはおぬしに編成を任せる。」
「え?そうゆうのは普通はもっと位の高い人がやるものでは。」
「おぬしには今後そのような立場に付けるつもりじゃからこの際やってみておけ。一応は黒髪の奴を相談役に付けておく。」
「分かりました。」
「ついでに、騎士団の人員候補も見繕っておけ。」
「なんかやりたい放題ですね。偉い人に目を付けられたらどうするんですか。」
「すでに目を付けられておるじゃろうが。それもこれ以上ない偉い朕に。」
「そうでした。」
「それで出来れば今回の異界探索には入れておいてほしい人員が何名かいる。」
「他にも陛下に目を付けられた哀れな人が居るんですか。」
「まぁそう言う事じゃ。」
流石に陛下、皮肉が通じない。
「まぁ、そ奴らはこの先他の異界が確認された時に動かせるようにしておこうと思って居る者たちじゃ。」
「なるほど。同じようなものが次々出てくる保証はないですが、出てこないという保証もない。ならば、その時に備えておくのがいいのは分かります。」
「うむ、今回はおぬしの領内と言うこともあり主導権はおぬしに預ける。が、中にはおぬしより階級の高い者もいるからなんかあったら遠慮なくチクるのじゃ。」
「それじゃぁ完全に虎の威を借りるキツネですよね。俺。」
「キツネかタヌキになるか、はたまたオオカミのボスか、どうなるかはおぬし次第じゃよ。」
「肝に命じます。」
「まぁ、とりあえずは竜を従えるのに恥じない人物になる事じゃな。」
十全の後ろではヴォルテールがドヤ顔しているのがウザかった。
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