第94話 魔法。1

「魔法技術の導入じゃと?」

 そうつぶやいたのは通信機ごしの紅玉帝の声だった。

 十全は今日現場の責任者に任命したモノたちとの話し合いで出たツィマットが言ってた「遊び。」を紅玉帝に進言した。

「せっかく一から開拓するのだからできるだけキャパシティーを追求しようという話になりまして。」

「ふむ、それで街の基礎の開発に魔法技術を使ってみてはとなったのじゃな。」

「というよりはツィマット所長が使ってみたいんだと思うんですけど。」

「おう、そういやアイツってそういうやつじゃったな。」

 しかし魔法かー。と通信機の向こうから紅玉帝のため息が聞こえる。たぶん天井を仰ぎながらついているのだろう。

「こら。陛下。その様に寝転んで足を上げてはいけません。下着が見えてしまっていますよ。」

 と、朱居さんの声が聞こえて来た。

 そういえば陛下って結構アクロバットな人だった。

「かまわんだろう。おぬししか見ておらんのだから。」

「私が見てるんだからやめなさい。って言ってるんですよ。」

「なに、おぬし男がいない余り朕のパンツで興奮するようになったのか。」

「そんなわけありますか!」

 朱居さん相変わらず苦労してそうだなぁ~。

「陛下の子供パンツに興奮するのはロリコンか穿どのだけです。」

「それは聞き捨てならんの~。朕のパンツはトップデザイナーがデザインしたせくしーパンツじゃぞ。これには大和帝国の総人口の2百万人も総勃起じゃぞ。―――なぁ、ボッキ君。」

「自分に振らないでください。」

「そんなのするわけないでしょう。」

「そうじゃ。今度演説中にパンツ見せて確かめてみるか。」

「すみません。前言撤回しますのでやめてください。」

「そんな怖い顔せんでも。――――分かった、分かったから。」

 大和国民の皆残念だったな。陛下のパンツは見れないらしい。―――別に俺は見たいとは思ってないが、ドンマイ。

「そもそも、大和国民の半数は女性です。他にも子供や老人だって居ます。総ボッキとか無理ですから。」

「確かに子供や老人は仕方ないが、――――女はボッキするぞ。」

「へ、――――いやぁ、嘘言わないでくださいよ。女性がボッキしようにも……その、付いていないでしょう。」

「フッフッフ、朱居よ。どうやらおぬしは知らないようだな。」

「な、なにを。い、いえ。いいです。」

「おぬしの体に教えてやろうじゃないか。」

「いえ、ですからいいですから。あっ、ちょっとまって、やめて脱がさないで。あっ、あぁぁぁ、何処触っているのですか。」

「どこって、クリじゃが。」

「栗?――――なんですかそれ。まってください。そこだめえええええええええ。」

「…………それじゃあ通信切りますよ。」

「ダメじゃ。」

「「なんで!」」

「魔法については今考えてるから少し待て。」

「あとで改めてじゃダメなんですか。」

「ダメエエエエエエエ!松永さんきかないいでくださぁいぃ。」

「ほ~れ、ク~リクリ。ク~リクリクリクリクリ。」

「あぁ、あああああああああああああああああああああああ。」

 正直話が全く進まなかった気がする。

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