第95話 魔法。2

「ふー、満足じゃ。」

「はぁはぁ、グスン、ひどいです。」

 十全は魔法技術の導入について紅玉帝に意見を求めに来たのに、何故に百合レイプを聞かされなければならないんだろかなぁ。と考えていたが、一応はごちそうさまを言っておく。


「して、魔法についてじゃが、これには大きな問題がある。」

「はい、魔法技術を持つものは大和に居ないということですね。」

「そうじゃ、朕も臣民も、ツィマットやヤツの親父もじゃ。」

「ウルトゥムに確認したところ、ボリアの皇族は皆習うそうですけど、自分はハブられていたので詳しくはない。とのことです。」

「相変わらずヒドイのぉ。しかしならばこそ魔法技術を導入するには他国から人材を派遣してもらう必要があるのじゃ。」

「やっぱり無理ですかねぇ。」

「無理とはゆうておらん。そもそも今後の国際化を考えるなら大和が魔法技術を持っていないままでいるのは避けたい。問題は地球人が魔法を使えるか、じゃが。」

「ウルトゥウの話では、人種族も魔法には適性があるそうですよ。」

「ふむならば習えば使える可能性が高いととってよいのかもな。」

「それでウルトゥムとツィマット所長によるとアールブ種が魔法に長けているそうです。」

「アールブ種とは確か耳が長い綺麗な顔立ちをしておる奴らじゃな。」

「ハイ、大和ではエルフと言った方が通りが良いでしょうが、しかし陛下はご覧になったことが。」

「ウルタールに疎開していたときにな。」

「となると、魔法技術を教えてもらうにはカダス連邦から派遣してもらうことになるのでしょうか。」

「ふむ、それじゃが、その時は大和の技術教導が引き換えになるじゃろうし、カダスだけでなくボリアやほかの勢力も、ということになる。」

「あぁ~、そうなりますか。」

「で、おぬしのところでどれだけ面倒見れそうじゃ。」

「うぐ、やっぱうちが受け入れ先になりますか。」

「当たり前じゃろう。ほしがっておるのはお主んところじゃろ。」

「分かりました。それならたぶん10人ぐらいなら受け入れられそうですね。」

「分かった。それで今度カダスとボリアに提案してみるわ。上手くいかんでも文句言うなよ。」

「そんな畏れ多いことしませんよ。」

「それじゃぁ通信終わりじゃ。」

「ハイ。」


 十全は陛下が通信を着るのを確認してから通信機の電源を切り、片付けた。

 それから通信用の人払いをしている部屋から自室へと戻った。

 迎えてくえたウルトゥムがお茶を入れてくれたので、それをすすりつつアールブについて聞いてみた。

「アールブは耳が長く長命で長く若さを保つ魔法に秀でた種族です。」

「カダスとボリア両方に居るんだよね。」

「はい、しかしカダスに居るのは肌の白いヴァイス族、通称白アールブです。」

「ボリアに居るのが、」

「黒い肌をしたネロ族、通称黒アールブです。」

「……そいつらって仲悪いだろ。」

「はい、よくお分かりになりましたね。」

「まぁ、お約束ってやつかな。」

「ネロ族ですが、彼らはその身体的特徴からボリア帝国では高い地位を持ちます。」

「皇族の黒い肌と長い耳ってところか。」

「はい、それと魔法に秀でているところもです。」

「ボリアの皇族ってアールブ種なの。」

「いいえ違います。皇族はれっきとした人種です、がアールブは人に似ていますが妖精種に近い生き物です。」

「生物として違う種族か。」

「ハイ、ですが彼のモノたちは貴族位についているものも多いので関わるならご注意を。」

「了解。まぁまずは陛下次第かな。」

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