第42話 新婚旅行は地元で。1
地元での新婚旅行、それに不満は無いが何か違う気がする。
「松永公にとっては地元でしょうけどウルトゥム様にとっては未知の土地、この機会に周ってもらえれば、との陛下の御気持ちです。」
「なるほど、それもそうだな。しかし――――」
「陛下がおごるそうです。ですので貧乏貴族の松永公はお金ならご心配しなくて結構です。」
「うぐ、――いやいや、コレでも少しはたくわえがあるんだよ。でも、これから領地運営するのに~と。」
「ああ、それぐらいは考えてましたか。大丈夫ですよ、そちらも初期費用は援助されますから。帝国としても松永公の領地には発展してもら分ければなりませんから。」
「ふーん、それは聞いてもいいのかな。」
「説明しよう!」
「うわぁ!」
「うにゃぁ!」
突然大きな声を挙げながら紅玉帝陛下がウルトゥムの背後に飾られていた掛け軸の裏から現れた。
その際陛下はウルトゥムのお尻をペロンと撫で上げていた。
「ふむ、これは男を知ったばかりの若さに大人の色気が混ざり熟れ始めたばかりの尻、いい尻だな。」
「オヤジですか。」
陛下はあきれながら小言を言う朱居の横に行き、ウルトゥムはその陛下から距離を取るために俺の後ろに隠れる。
「どこから出てくるんですか陛下。」
俺は掛け軸をめくってみるけどその裏には道なんてなかった。
「それよりおぬしたちを贔屓している理由を説明してやろう。」
「いえ、そっちも気になりますけど、こっちも気になるので先に説明してもらえませんか。気になって話がこんがらがりそう。」
「うむ、仕方がないのぉ、「なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け。」と、偉い人が言っていたとこーちゃんが言っておったのじゃ。」
それは偉い人じゃなくてやられやくの口上だろう。―――言わないけど。
「まずはここが後宮の中ではない船の中だと教えてやろう。」
「あっ、やっぱりここって
「う”、うむ”、気づいておったのか。」
「それは窓の外を見れば帝都が一望できますけど、帝都にはそんな高い建物は無いですから多分あの船の中なんだろうなぁって、やっぱり見えないようになってるだけで帝都の上空に浮かんでたんですね。」
「そ、そうじゃ。ここは光学迷彩で見えなくした空に浮かぶ船の中じゃ。」
やっぱり。
と、俺はテンションが上がったが、陛下はなんだかがっかりしていらっしゃる。
もしかして気づかないふりをしておいたほうが良かった?
「それでじゃな、この船は朕の城でもあるのだからこの中では朕は自由に行き来できる道が張り巡らせられているのじゃ。」
その説明を受けて俺は先ほどの陛下の行動と合わせて『バカ殿の城』みたいだなぁ、って思ってしまった。
「ついでに船の中でのことは何処にいても知ることもできるのじゃ。」
それを聞いて俺は嫌な予感がし始めた。いや、確信といってもいいだろう。
「そこなウルトゥムが擬態していることも、本当の姿がロリなことも、ボッキ君がロリコンで彼女にフルボッキしたことも、昨日一昨日と御楽しめでしたね、ってことも知っているのじゃ。」
さ、最悪だぁ~~~~~~~!
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