第43話 新婚旅行は地元で。2
してやったりと胸を張る紅玉帝陛下と。
四つん這いで打ちひしがれる俺。
「好奇心猫を殺すと言うだろう。訊ねなければ知ることもなかったのにのぉ~。」
世界はなんて残酷なんだ。
まさか、まさかの、童貞卒業の瞬間を覗かれていたのかよぉ~。
「記録も取ってあるぞ。」
加えて盗撮もされていたのかぁ~。
くっ、朱居さんが申し訳なさそうに顔をそらしているので彼女にも見られていたということだろう。
加えて言うと、一般では盗撮は犯罪だがここは治外法権、皇帝陛下が絶対に正しい場所なのだ。
なんて理不尽。
「すみません。その記録、後でワタシにも下さい。」
「「えっ?」」
「はっ?そんなのもらってどうすんのウルトゥム。」
「いえ、せっかくですし記念に。―――それに後で見返すのもいいかと思いまして。」
つ、強い。
強いよ、ウルトゥム。日ごろから触手を纏っている変態なだけはある。
「ミテル、今なんだか殴りたくなったのですが、殴ってもいいですか?」
「ご遠慮ください。」
「うむうむ、なかなか仲が良くて結構じゃ。」
拳を握るウルトゥムと土下座をする俺を見て陛下は満足げにうなずいている。
「皇室がおぬしたちを贔屓するのも訳あってじゃが、それにはおぬしたちが仲良くなくてはならんのじゃ。」
「で、その訳は聞いてもいいものなんですか?」
「説明しよう!と言って出て来たんじゃぞ、聞いてもいいに決まっておるじゃろうが。」
「今しがた余計なことを聞いたがためにひどい目に合ったのですが。」
「ヘタレたのか。嫌だと申しても話す、嫌だというならなおのこと話すぞ。」
「鬼っスね。」
「誉め言葉じゃな。―――で、お前たちを結婚させることが大和の未来を変えるのじゃが。」
「思った以上に話がデカい。鬼っスね。」
「だからまぁお前たちには狙いを知ってもらっておいた方が良いと思ったのじゃ。」
「それなら結婚前にしてほしかった。」
「しようとしたぞ。ほれ、童貞か確認したじゃろ、あの時じゃ。お主はエッチのことで頭がいっぱいになってしもうたので話損ねたのじゃ。」
そう言われると返す言葉がない。
実際、勅令で童貞捨てろ、っと言われた後の記憶がない。
―――いや、ウルトゥムとの情事は憶えてますよ。
忘れられるモノじゃ無いでしょ、童貞卒業ですよ、初体験ですよ。
ウルトゥムの感じる場所も覚えた。太ももの内側を膝のあたりから撫で上げると悦んでくれるのだ。
「おぬし、今エロいことを考えていただろう。するなとは言わんが、少しは遠慮しろ。」
「失敬。」
「ほれ見ろ、ひとりだけ浮いた話の無い朱居が浮いてしまって、沈んでおるじゃろう。」
「陛下、自分は浮いても沈んでもいません。」
「目が泳いでおるぞ。」
綺麗に落ちた。
こう、朱居さんの腰がストンと垂直に。
「仕方ないんです、自分は陛下にお仕えする大命があるのですから、恋愛にうつつをぬかせないのですよ。」
よよよ、と袖で涙を拭いていらっしゃる。
陛下も不憫に思ったのかその肩をポンッと叩いて―――
「すまんのぉ、代わりに朕が慰めてやろうぞ。」
「結構です。」
陛下に対してよくこんなにキッパリと断れるなぁ、って感心していたら。
「いつも一人で慰めておるじゃろ、遠慮するな。」
「ホント結構です!」
こうゆうところか。
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