第41話 イチャつく新婚とバナナ。

俺の名前は松永 十全。


十全と書いてミチルと読む。


皇帝陛下からいただいた名前だ。


あと認めたくないがフルボッキというミドルネームがある。


あだ名ではない。


あだ名はボッキ君だったのだが、戦争で活躍したら領地がもらえたのに皇帝陛下が領地の名前をフルボッキ領にしちゃったのだ。


何が何でもボッキ君ネタは残したかったらしい。


それと、領地と名前以外にも嫁を貰った。


戦争で俺が倒して捕虜にした敵国の皇族である。


今日は結婚2日目である。


エロい事は結婚の前日にやってしまっている。


モチロン昨日もした。


日中は式典やらで、夜は皇帝陛下主催のパーティー。


主役が逃げるわけにもいかず忙しかった。


しかしクタクタにくたびれてもエロい事はした。


てかフツーはするよね。


そして今朝も元気だ、これが若さだ。


「いやいや、新婚が朝から部屋でゴロゴロするな。」


皇帝陛下の御傍付きの朱居さんが俺等の泊っている客室にやって来てのたまった。


「モゴモゴモゴ。」


「おいウルトゥム、口にモノを咥えたまま喋らない。」


「モグモグモグ、ゴックン。」


「……そのな、お前たちはナニをやっているんだ。」


「ソレはもちろん朝ごはんですよ。」


「……ほぉう、旦那のバナナを嫁が咥えるのが朝ごはんだと言うのですか。」


「だって俺たち新婚ですよ。」


「あ~ん、ぐらいしますよ。」


俺のバナナを咀嚼して飲み込んだウルトゥムが話に加わってきた。


「新婚って言っても朝からそんなことをするのですか?」


俺とウルトゥムは顔を見合わせて、


「「あ~んで食べさせ合いっこぐらいするでしょう。」」


どうやら朱居さんはこうゆうリアルなイチャ付き方は知らないようだ。


まぁ、皇帝に仕える女官では出会いもないか。


「今、失礼なことを考えませんでしたか。」


「いえいえ、滅相もありません。」


俺は首を振って否定する。


「それで朱居様、ご主人様には何の御用で参られたのですか。」


「その前に聞きたいのですが。」


朱居はウルトゥムの問いに答える前に疑問を聞きに行った。


「ウルトゥム様は松永公の正妻となられたのにご主人様と呼ぶのですか。」


「?…なにか変ですか。」


「いえ、この場合なら「アナタ」とか「ダーリン」とか特別な呼び方をするものでしょう。」


朱居さんはたぶん自分の夢を言っているんだろう。


良い人に出会えるといいですね。


「ご主人様。ご主人様は特別な呼び方を希望なさいますか。」


ウルトゥムがそう聞いてきたので俺は―――


「ご主人様も捨てがたいが、やっぱり「アナタ」とか「ミチル」って名前で呼んでもらえたりするのがいいかな。」


「では、ミチルと呼ばせていただきます。――――ミチル。」


「なんだいウルトゥム。」


「愛してます。ミチル。」


「俺も愛しているよ。ウルトゥム。」


「ミチル、ギュって抱きしめて。」


「ギュゥゥゥゥ。」


「だーーーーー、私を目の前にしてイチャつくなぁ!。」


朱居さんがキレタので俺はウルトゥムを離す。


「ところで朱居さんは何の用で?」


「あぁそうでした、陛下から言伝です。―――2人ともせっかくなのじゃから新婚旅行をして行け。とのことです。」


「旅行って――――何処に?」


「もちろんここ、大和の帝都です。」


「地元じゃん。」

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