第33話 松永なにがしは童貞である。
「ソレでおぬしの名前を決める前に、ぜひ聞いておきたいことがあるのだが。」
「なんですか。」
「おぬし、童貞か?」
「………………………………………………………」
よーし、ここはよく考えて答えなきゃならないぞ。
「とりあえずいいでしょうか。」
「うむ、構わんぞ。どんとこい。」
紅玉帝陛下は胸を張って質問に答えようとしている。
しかし、言っては失礼なのだが、そのお胸はペッタンコなのだが。
「俺の名前が、その、……童貞である事と何か関係があるのですか。」
「別にそうゆうわけでは無いのだけどにゃぁ~。」
じゃぁ、なんでここで聞いてくるんだ。
「しかし、おぬしの童貞で今後の大和帝国の趨勢が左右される。」
「何でだよ!」
国家の趨勢が個人の童貞で左右されるとかどんな冗談だよ。
しかも、それが俺の童貞だとか。
「で、実際のところはどうなのだ。童貞か?非童貞か?」
「………………………………………………………童貞です。」
顏を両手で覆ってかろうじてそう答えた。
お酒や肴を用意してくれてる朱居さんが背中をポンっと叩いて慰めてくれた。
……………慰めないで。
「ふむふむ、それは良い話だ。」
俺の童貞がそんなに良い話ですか。
すっげーいい顔で俺の童貞を喜ばないでください。
これが青春ラブコメのツンデレヒロインが相手なら嬉しいんでしょうが、陛下は別に好きな人がいるでしょう。
「よし、松永なにがしよ、これは勅命である。童貞を卒業せよ。」
……
……………
………………………………………………………
待ってほしい。
大和帝国はもとより、日本の歴史においても、どころか世界史においても最高権力者から『童貞の卒業』を最優先事項として命じられた人なんていないよね。
改めて言おう、なんでそうなる。
「松永よ。」
「はい。」
「おぬしには捕虜にしたボリア帝国の皇族がいるだろう。」
「ウルトゥムのことですか?」
「そ奴で今夜中に童貞を卒業せよ。」
「―――なぁ!」
「いや、そ奴以外での童貞の卒業は認めん。」
「―――なぜ!何故そのようなことを命じられるのです。」
「ふむ、それはだな、大和帝国は地球が元の太陽系に戻れる希望が薄い以上はこのアザトース恒星圏にて確かな地位を築かなければならない。」
「…それは存じております。―――ですがそれが俺の童貞に何の関係が。」
「わが大和帝国はカダス連邦だけでなくボリア帝国とも国交を結びたいと思っている。」
ボリア帝国はこのアザトース恒星圏を武力で統一しようとたくらむ国。
大和帝国の同盟国であるカダス連邦とは水と油な敵対勢力である。
にもかかわらず、紅玉帝はボリア帝国との国交をも望むのか。
それは少し無謀ではないか。
しかし、紅玉帝は自信に満ちた表情で宣言してきた。
「そうゆう訳でおぬしにはあの娘を犯して孕ませることを命じる。―――これは勅命である。」
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