第22話 斬って、叩いて、食い散らかして。1
周りを囲まれていたのには気が付いていた。
そのうえでスルー出来ないかと思っていたのに。
うーん、皆さん殺気高めでしかも俺に注目している。
……面が割れてるのかな。
いやー、俺ってば敵の大将を下した英雄だもんね。
有名税ってやつ。
しかたないなー、サインいる?
でもそんなに殺気を込められると受け取りサインはできないかなぁ~。
「……ご主人様、すっごく……煽りますね。」
「え?」
「ボッチ君、さっきからすっごい出てるよ。」
「え?そんなに表情に出てた。」
「……いえ、口です。」
「まっじでー。」
「ホラ、見てごらん。みんな顔を隠しているのに殺気は丸出しだ。」
「本当だー。これはあれだね、フル
「むしろフル
「ボッキ言うなし。」
ハッハッハー、と笑う俺と飛鳥にウルトゥムが引いていた。
引かれてしまった。
しかし殺気丸出しの敵さんは距離を縮めてくる。
結構グイグイ来る系だった。
「……数は13か。狙撃手はいないな。」
「8:5でどう?」
「俺が5でお前が8な。」
「決まりだね。」
俺の居た部隊では戦争に殺意はいらないと教わる。
戦争で敵をコロコロするのは作業であり、必要なのは効率と正確さである、っと。
敵をコロコロするときにいちいち感情的になるのは、猫を相手にボールをコロコロするのと同じだ、と。
つまり遊びだ!と。
戦争で遊んでんじゃねぇ、真面目にコロコロしろ。
そう教わった。
―――マジでこう言われた。
お前がふざけんな、って言ってやりたかった。
が、軍隊で上官に口答えすれば容赦なく殴られるので言えなかった。
―――俺以外は全員腹を抱えて爆笑してたのでみんなでフルマラソンしたっけなぁ。
懐かしいなぁ。
『旦那、楽しんでるでしょ♪少し満足感を感じますよ♡』
そこはそりゃね、これでもバトルモノは好きだったし。
俺ツええ!とかやってみたかったしね。
心の中で話しかけてきたウィズに心の中で親指を立てて答える。
『ヒトのことシリアルキラーとか言えないですよ☠』
いいか、これはゲームなんだ。
コロコロしなければ遊びの範疇なんだよ。
『でも、敵さんもお連れさんもヤル気マンマンみたいですけど。』
敵さんはガチだからな。
あと、飛鳥も俺と同じで遊び気分だ。
コイツはコロコロが大好きだからな。
「―――って、一緒にすんなやぁぁぁぁ。」
何ナチュラルに殺し合いを楽しんでんだ。
本格的に染まっている自分が怖い。
今だって頭を抱えていたら襲い掛かってきた敵を反射的にバッサリいっちゃてるし。
軍装だから腰に刀を佩いていた、それで居合抜きだ。
慣れって怖いね。
『めっちゃ笑ってますよ☆』
異世界転生ものの主人公がみんな人格者なのには疑問があったのだよ。だから俺はこれでいい。(開き直り。)
となりで飛鳥がヒャッハーし始めたので、俺も改めて俺つえええええ!ごっこをすることにした。
飛鳥は楽しそうにkill,killしていっているので俺はできるだけコロコロしないようにする。
情報を聞き出すためにも生け捕りは必要だろう。
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