第4話 悪魔との出会い。
人生とはなんとつまらないものなんだ。
前世での俺はそう思って生きていた。
子供のころから親や教師に「勉強しろ。」「将来のために努力しろ。」と言われてきたが、その将来に何をすることになるのか全く教えてもらえなかった。
かといって、俺がやりたいことをしていると、「遊んでばかりいるな。」と怒られる。
将来のこともなりたいことを正直に言えば「夢ばかり見ずに現実を見ろ。」と言われるばかり。
現実を見ても将来なんて何も用意されていないのに、ただ場当たり的に勉強を押し付けてくる大人たち。
進路などで大人に頼ると「甘えるな。」、なら自分のしたいことを目指せば「現実を知らない子供。」そう言われるばかり。
結局、俺は人生というものにやる気も達成感も何一つ見いだせることはなかった。
成人してから一応は働いてきたが、やる気を出してより良いものを作ろうとしても、1人だけ良すぎてもだめだと言われ、人に合わせていたら「やる気があるのか?」と言われる始末。
そんな仕事に愛着はなく、苦にしかならなかった。
そんなことを15年ほど過ごしてきた俺の心は限界だった。
人生に生きがいがなく、仕事にも嫌気がさしていた俺、金に執着はなく稼いだ分は使い切らなければ気がすまなくなっており散財しまくり貯蓄はない。
こんな俺では結局他人にも興味がなく、アラフォーにもなろうかというのに恋人の一人もいない。どころか友達すらも全然いない。
こんな風に生きてきて、こんな人生に価値はあるのか、と自問自答しても、自分が悪いのか社会が悪いのかといったことに対しても割り切れないままグダグダと一人で悩んでいる。
最近、酒の量が増えてきて、朝起きても疲れが取れない。そのために仕事の効率も上がらず、いっそ仕事をしたくなくなってきていた。
しかし貯金などないから仕事しなければならない。
もう限界に近づいていた。
誰かに相談したかったがそんな友人もいなかったため一人で抱え込んでしまう毎日。
……あっ、病院に行けばいいんだ。
そう気が付いた俺が向かった場所に奴がいた。
「やぁ、悩める子羊よ☆。汝がその心に救いを与えるためにボクが導いてあげるよ♡」
人の悩みに付け込んで唆す悪魔である。
「ボクの名前はウィアード・テイルズ☆、気軽にウィズって呼んでね♡。ボクは人の達成感や満足感を食べて存在する悪魔だ♪、で、代わりにボクは人にはより濃い満足感を定期的に提供してもらうために力や生きがいを与えているんだ。特に恵まれた人より不幸な人のほうが断然美味しいから旦那は僕のめちゃタイプなんだ♡」
その少年のようで少女のようでもある悪魔は俺の目の前でプカプカと宙に浮いたまま笑いかけてきた。
これは俺が見た幻覚かもしれないと思う一方で、この胡散臭い悪魔が本物であればいいと思いもした。
何より胡散臭いところがいい。
悪魔のくせにwin-winな契約なのが面白かった。
「ボクと契約してリア充になろうよ☆」
俺は迷わずに悪魔の手を取った。
そこに悔いはない。
ただ、俺は本当に追い詰められていたのか、病院に行くつもりが巷で心霊スポットとして有名な廃病院に来ていたのだ。
笑えない話だが、そこで悪魔に出会って契約してるんだから逆に笑える。
さて、俺の人生はどう変わるんだろう。
そう期待していたのだが、俺とこの悪魔・ウィズにとって予想外の不幸が待っていた。
廃病院は老朽化で倒壊してしまい俺は生き埋めになって死んでしまったのである。
こうゆうことがあるから廃墟などには行ってはいけないのだ。
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