第4話 自然な笑顔
日本を出るまえ、ぼくはどうやったら笑顔を作ることができるのかを忘れていた。というよりは、写真に写った自分の笑顔がものすごく嫌いで、笑顔を作るのを意図的に避けるようになっていた。写真に写る笑った自分の顔は、引きつっていてほんとうに醜いものだった。日本社会がさまざまな側面から与えてくるプレッシャーが長年積もりに積もって、ぼくは笑顔を作る仕方を忘れてしまっていたのだと思う。現在のぼくは、妻(日本人ではない)のおかげで、完璧ではないものの笑顔を作ることができるようになっている。いや、「作る」という表現は正確ではない。笑顔は、顔の筋肉の緊張を解くことができれば、幸せだと感じることができた場合に自然に「出て」くるものなのだ。多くの日本人はそのことを忘れてしまっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます