第17話今でも・・・・

「結局言えなかったな」


 パソコンの前でイラストの専門学校のページを見ながらも、考えていることはそれではなかった。


「今も俺のことが好きだということ・・・・・・・・」

 単純に考えてありえない確率だと思うが・・・・・・


「でも、頬を赤らめていたし、もしかしたら・・・・・・・・・」

 でも、単純に恥ずかしがっていたかもしれない。自意識過剰になるのは一番良くないことだ。


「まいちゃん・・・・・・・・」

 俺はパソコンを離れベッドに倒れ込んだ。


「まさかこんな気持ちになるなんて思っていなかった。

 幼少の頃は一緒に遊んだ。でも、子供の時は女の子と意識することはなかった。

 今は・・・・・・・・彼女の顔や声が頭から離れられない。


「言葉にしなければ」

 僕はベッドからむくりと上半身を起き上がらせた。そして、歩く。


「言葉をちゃんと言わなければ、僕はあなたのことが好きです、付き合ってください、って」

 そうだ、そうしないと何も生まれない。ちゃんと言葉にしないと。


「そうだよ。じゃあ、場所はどうするか?告白する場所は」

 僕はすぐ閃いて、まいちゃんにクロスで送った。宗堂桜でまた一緒にボアと遊ばないか、と。

 それを送信した。30分が経った。


「まだか」

 思わずため息がつく。30分しか経っていないのにまだかは、ないだろう、まだかは。


 俺は思い切ってゲームをしだした。この調子じゃあ絵は書けない。

 さらに1時間。

 スマホにかじりついて作業ゲーをしていたが、まだ連絡はこない。


「うーん、俺って嫌われている?」

 冷静に考えて、1時間半ぐらいで連絡が来るはずもなかったが、俺の心はまいちゃんのことでいっぱいだった。


「落ち着かない」

 仕方ないのでワイヤレスヘッドホンで音楽を聴くことにした。すると、いつもは陳腐な歌詞が、まるで俺とまいちゃんのことを歌っているように聞こえてくる。そして知らず知らずのうちに泣いていた。


「うう、そんな、お別れなんてあんまりだよぉぉぉぉ!まいちゃん!」

 そして、はたと気づく自分の精神状態に。

 俺は首をブンブンと横に振る。


「ダメだダメだダメだ!j-popはダメだ!洋楽ロックを聞こう!」

 今度は物憂げな洋楽の雰囲気に包まれ、なんとなくこれから起きることが別れに繋がれるような気がして泣けてきた。


「うう、マイチャーン。グスッ。やっぱり僕らは別れるしかないのかー!」

 そんな一人漫才をしていたら、スマホから着信があった。まいちゃんからだ。

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