第18話非常事態宣言なのに・・・・

「何何。明日のボアのお父さんの散歩の当番なので行けれません。私も、明日個人的な都合で予定が空いていないので明後日はどうですか?もちろん、いいとも!まいちゃん!」


 だんだん自分がコメディアンのような気がするが、あえて気にしない。


 そして、返信を送った後にはたと気づく。


「でも、失業中なのに個人的な用事ってなんだ?友達付き合い?でも、今は非常宣言が出ているよな?自宅待機が理想なのに、何が個人的な用事なんだろう?」


 わざわざ、それを聞くことは余計な気がした。


「そうだな。今いい線いっているのにわざわざポイントを下げる必要はないよな」


 しばらく、悩んだが、思い切って聞くことにした。


 これで嫌われるかもしれない。でも、今は非常事態宣言が出ている。拘束力はないが、あまり出歩いて褒められるというものではない。


 そんな中、まいちゃんが個人的な用事というのはなんだろうか?良くないことでなければいいんだけど。

 すぐに返信がきた。


今から話せる?


 宗堂桜で?


 ううん、こっちにきて。今はお母さんがいるだけだから。


 わかった。すぐに向かう。


 そう返信するや否や、すぐに家を飛び出した。

 本田家の麓の坂の前に来て、上り、洋風の一軒家にインターフォンを押す。すぐにおばさんの声が聞こえた。

 和式のガラス扉が開く。


「ああ、ハイハイ。舞花から聞いてますよ。上がってくださいな」

「お邪魔します」

 そして、靴を玄関で脱ぐ。


「すみませんけど、手洗いをしたいんですけど」

「はい。左手側のすだれに洗面所がありますよ」

「ありがとうございます」


 洗面所に行くと、風呂場も兼用らしく、反対側に風呂場の扉があった。


 俺は手洗いをすると、おばちゃんがニヤニヤとすだれから顔を出して笑っていた。


「あの、何か?」

「そこに舞花の下着があるわよ。持ち出したらダメよ?」


「怒りますよ」

「きゃー」

 そう僕がいうや否やクモが早足で逃げていった。


「全く、あの人は」


 困ったもんだ、と思いつつ、僕はまいちゃんの部屋に行った。

 確か2階だった。木造の階段を歩いていると、左右に二つの通路に出くわす。まず、僕は左の通路を歩く。と言ってもすぐ扉があり、その扉には・・・・・・・・・。


 私とダーリンの❤️

 と書かれたプレートを見つけてここじゃないな、とおもった。

 そして、そこからさらに左に通路があるが、そこの突き当たりはテラスになっていた。


 俺は元の道に戻って、反対側の通路を歩いた。程なく、突き当たりに、舞花、というプレートが見えた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る