秘密の行方

side美葉菜


「お疲れ〜」


千晶が駆け寄ってくる。

今日は部内の練習試合。もちろん勝利して、


今は更衣室の外。千晶は先に着替えて待っていてくれたらしい。


「お疲れ千晶」


「一緒に帰ろう」


そこで私は重要なことを思い出した。


「ごめん千晶、今日私帰る方向違うわ」


千晶はニヤリと笑って


「桜沢君と?」


え、なんで千晶が知ってるの?

誰にも言ってないし言うなって

  桜沢君に言われたから守ってきたのに…


「昨日美葉菜の家の近くではない駅にいたでしょ。桜沢くんと。私見たんだ」


千晶に見られていた 。


ぐっと私の肩を掴んだ千晶。


「スタバの新作美味しそうだったなぁ。

奢ってあげてもいいけどなー。」


「話します」


やっぱり新作のいちごの生クリームフラッペは美味しそうだったし、


千晶に隠し事はできないし。


そう思いながらスタバに行くと


「あれ福ちゃんと千晶ちゃん」


 浩ちゃんがいた。


そして驚いたことに

「こんにちは」


早乙女さんが浩ちゃんと一緒にいた。



「何で早乙女さんと一緒にー」


千晶が叫び声をあげる。


私も気になる。

浩ちゃんと二人っきりってことは

浩ちゃんとデートしてるって事だよね。


というか、

そもそも何で浩ちゃんと早乙女さんは

             知り合いなの?


「二人ともまだ帰らないでくれない?

あ、もちろん美葉菜も〜

聞きたいことがいっぱいあるから。」


千晶が帰ろうとした早乙女さんを説得している。

早乙女さんがしぶしぶ座って、

報告会という名の事情聴取が始まった。


「いやー福ちゃん達もスタバの新作につられてきたの?」


私と早乙女さんの間の

気まずい空気に気づかない浩ちゃんは

さらに


「こっちも美音が「買い物ついでに新作飲みたい」って言って寄ったんだけど」


と最大級の爆弾発言をした。


2人でいる時点でも思ったけど


二人って付き合ってんの?


「何で二人で?」


「何でって

たまに二人で買い物とか行くけど?」


首を傾げる浩ちゃんと

無言で頷く早乙女さん。


でもよく見ると早乙女さんの耳元が

いつもよりほんのり赤い。


分かった。


早乙女さんは浩ちゃんのことが好きなんだ。


千晶を見ると千晶も

そのことは分かったみたいで

ニヤニヤしている。


まあ浩ちゃんもイケメンの部類だもんね。


優しいし。


早乙女さんを見ていると、

少し睨まれてしまった。


またそんな赤い顔で睨まれても

説得力ないけど。


確かに早乙女さんのイメージからして

恋愛自体に慣れてなさそうだもんな〜。

私もだけど。


「ちょうど良かった浩輝、聞いて聞いてー」


状況は読めているけど

空気が読めていない千晶が

早乙女さんもいるのに

私と桜沢くんとの

スクープについて話し始める。

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