桜沢くんと家族
「うん、みっちゃんかわいい💕」
おばさんが満足そうに頷く。
帰ってきてからくつろいでいた私を、
おばさんは2駅離れたショッピングモールへ
連れ出した。
「みっちゃんこれ試着してみて!」
めっちゃテンションが高いおばさんと
「みっちゃんこれはどう?
僕が選んだカチューシャ」
女子力が高い進斗君に選んでもらった
洋服を試着している。
「おばさんは洋服が大好きなのに
凛斗と蓮斗は興味ないっていうし
進斗は女性の服は着ないし」
「当たり前だよママ!」
進斗くんが叫ぶ。
進斗くんに突っ込まれたおばさんは
「だからみっちゃんが来てくれて
すごい嬉しいの」
ニコニコで私を選んだ服を買う。
結局10着ぐらい買ってもらい、
買ってる間おばさんといろいろな話をした。
最初は緊張していたけど、
おばさんは明るい人だったので
最終的にはとても話が弾んだ。
「みっちゃんはアイドルが好きなの?
おばさんはジャニーズが好きよ」
「嬉しい!今度一緒に音楽番組とか見たり話たいです。」
「みっちゃんぐらいにいい子で可愛かったら私、本当の娘に欲しいわー」
どうやらおばさんの目には
私が美少女に見えてるらしい。
嬉しい。
いろいろ話したり買ったりしていると
あっという間に時間が経っておばさんが
「さ、帰ろうか」と時計を見た。
そしてスマホで誰かに連絡をしてる。
「みっちゃん、進斗、
凛斗が駅まで迎えに来るって」
顔が熱くなる。
何この神的展開。
新しい服、可愛いって思ってもらえるかな。
side凛斗
「ただいま」
帰ると 母、進斗、福原の姿がなかった。「みんなは?」
おやつを食べていた蓮斗に聞くと
「二駅先のショッピングモール。
「みっちゃんと服を買う」
って張り切って出かけてた」
「あぁ、母さん前から言ってたもんな。」
母さんは結婚する前は、
大手雑誌のスタイリストをしていて
洋服大好き、
特に女性の服、おしゃれが大好きで、
俺ら三兄弟がいる前で女の子が欲しいと
嘆いたこともあった。
もちろん性別は選べないので
悪いと思ったことはない。
幸い一番下の弟の進斗がファッション好きだったので色々話しているが
やっぱり母さんとしては女の子と
服を買ったり
ファッションの話をしたいらしい。
だから福原が来ると決まって一番喜んでいたのは母さんだった。
「ふーん」みんないないのなら仕方ない。
零でも誘って図書館に行こうと思っていたが「♪〜」スマホに電話がかかってきた。
ちょうど母さんからだった。
「はい」
「凛斗今どこ?」
「家だけど」
「うん、オッケー今から駅まで来て」
「はい?」
「わかった?じゃあ」
しょうがない。
一方的に切れた電話をしまうと
ため息をついて俺は家を出た。
駅に着くと
「あ、凛斗〜」
ちょうど母さんたちが
出てくるところだった。
3人とも買い物袋を2.3個ずつ持っている。
「持って」
荷物を3個持つと待ちきれないように
母さんが話し出した。
「みっちゃんは何を着ても可愛いわね。癒されるわぁ」
「はいありがとうございます」
照れたように福原が元気よく返事をする。
ちょうど福原と進斗が話し始めた
タイミングで母さんが話しかけてきた。
「みっちゃん可愛いわね。学校で一番可愛いんじゃない?」
そう聞いてくる母さんにそれは美音だろ。
と心の中でつぶやく。
「将来性あるわよ。これからさらに可愛くなると思う。」
「恋は人を可愛くするって言うしね。」
耳元で囁かれる。
まさか母さんも、
福原の好きな人が俺って知っているのか。
「そんなことは表情でわかるわよ。あ、みっちゃんは言ってないわよ。」
進斗と能天気に喋っている福原。
母が知っていることを考えると
頭が痛くなった。
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