ライバル…

そのまま電車に乗っていると

2駅目で早乙女さんが乗ってきた。


相変わらず超絶美人だ。


私を見つけると私のことを驚いたように

まじまじと見つめる。


私と目が合っていることに気づくと

キツくにらまれた。


な、何よ。


思わず目をそらすと


いつもの景色ではなく、

見慣れない街並みが見える。


夢中になって見ていると


「御星〜御星〜」


いつのまにか学校のの最寄駅についていた。





「ねぇ。」


朝練が終わり、 更衣室にいると

千晶が話しかけてきた。

きた。


「ん?」


「何かあった?」 


「ううん」

朝練でも

ふとした時に思い出すのは

朝の早乙女さんの表情で

それが原因で何度もミスをした。


「千晶、早乙女さんって知ってる?」


「うちの学校で一番美人で

一番頭がいい人でしょ。

その子がどうかしたの?」


「いつも桜沢くんと一緒にいるじゃん」


「何、ヤキモチ?」


ニヤニヤしながら顔を覗き込んでくる千晶。


「そんなんじゃないよ?

ただ好きなのかなって」


「怪しい〜」 


「もういいうるさい」


「でも学校一の美男美女だし、

   付き合っていたとしたら誰もが認める

     お似合いカップルだぜ」


大地も朝練が終わったらしく

       更衣室の外で合流する。

「確かにね。」


「ああ福原失恋決定〜」


「美葉菜ガンバッ!」


「うるさーい」


「何何?福ちゃん失恋?」


何故か運動部には参加していないはずの

          浩ちゃんまで加わる。

「もー浩ちゃんまで」


「ごめんごめん」

みんなで笑い合って話すと

    落ち込んでいた気分も晴れてきた。


そして放課後。

「美葉菜~カラオケ行こー大地と浩輝と、

     今日は歌いまくろう!」

千晶からの誘いを「ごめん!」と断り

桜沢くんが待っている駅に向かった。


しかし、駅には桜沢くんの姿はなかった。


「あれ?」私がキョロキョロしていると

“ピロン“スマホにLINEが届いた。

(朝、桜沢一家とLINEを交換した。)


LINEは桜沢くんからで

「降りた駅で合流」と書かれていた。


そっけない文章でも、

    思わず笑顔になってしまう。


そのあともずっと、

駅で降りた時も笑っていて


桜沢くんが私の顔を見たとたん

「大丈夫か」と気づかわれた。


思わず「あなたのせい」

と言いたくなった。




恋ってこんな感じなんだ。

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