泣きっ面に蜂
翌朝、普通に起きて、
普通に勉強して1日を過ごすはずだったけど…
''ドンドンドン‼︎''
いきなり強めに叩かれる玄関のドア。
めんどくさいけど父さんは寝てるし…
しょうがない。
「はーい」ドアを開けると
「えっ…」
黒いサングラスをして
黒い服を着た人相の悪い男たち。
これってもしかして…
ヤのつく自由業の人たちだよね?
だったら間違ってるよ。
ウチそういうところには縁ないもん。
「あの、間違いじゃ…」
「親父さんはいるかい」
「えっ、父さんですか?」
慌てて父さんを呼びに行く。
寝起きが悪い父さんだけど、
無理やり引っ張って玄関に連れていく。
心当たりは父さんもないみたいで
キョトンとしている。
「何か用ですか?」
「
リーダー格らしい男が言った言葉に私の方がキョトンとした。
「母さんは私が小さい頃に
亡くなっているはずですけど…」
「ごめん!美葉菜!」
いきなり父さんが頭を下げた。
「父さん、嘘付いてた。母さんは死んだんじゃなくて浮気して家を出て行ったんだ。」
……。
衝撃な事実を聞いてしまった。
「母さんは美葉菜が2歳になる頃に突然、
家を出て行った。
後から浮気をしてたって知って探偵事務所に探してもらったりしたけど、東京にいるってことしか分からなくて…」
「待って待って、じゃあ、仕事を辞めてまで東京に引っ越してきたのって…母さんを探すため?」
コクリとうなずく父さん。
2度目の衝撃
「で、莉花がどうしたんですか?」
「ん?会っていないのか?」
「そもそも貴方がたは誰ですか?」
「俺たちは○△組の団員だ。
福原莉花は若旦那の愛人だった。」
○△組といえばニュースにも出てくるような大手の暴力団。
何でお母さんが?
愛人とか?
「莉花には出ていかれてから
1度も会っていません。
向こうも私たちが
どこにいるか知らないと思います。」
「それが向こうは知っている。福原莉花は、愛人である若旦那を利用してとある方法で
あなた方の居所を調べていた。
パソコンのデータベースを調べたら
残っていたんだ。」
「何故、莉花は追われているんですか?」
「組の資金を1億持ち出した。」
何そのベタな展開…
不幸というものは続き、
私は失恋した翌日に家を失った。
「ねぇ、これからどうするの?」
私、今とても不安なんだけど。
運転席の父さんをこっそり見る。
あのヤクザたちが来てから2時間。
私は必要な荷物をこまごまと持って
車に乗っていた。
生きていることが分かった母さんは私たちを訪ねてくる可能性があるため、
私たちはあの家を○△組に貸した。
訪ねてくるところを捕まえるらしい。
父さんがやっている店は昼間、
一般人に扮して張り込む。
だから父さんは今まで通り仕事ができる。
でも、私というお年頃の女子高生がいるのにも関わらず、家の中に一日中張り込むということは環境と教育によくないらしく、
私と父さんは、父さんの親友の家に居候することにした。
「ここだ」
家から車で30分。到着したその親友の家の表札を見て固まってしまった。
だって、
だって、
「桜沢」って書いてあった。
「桜沢」ってあの「桜沢」?
驚いている私に構わず
父さんがチャイムを押した。
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