第45話
白雨様のお母様が人間。
これが、どんな意味を持つのか詳しくは分からないけど従者の人達の今までの表情や反応的にとても良い意味とは思えないな。
そんなことを考えている間に茜は口を開いた。
「それって、白雨様は知っているんですか? 」
「……」
「白雨様は」
「気づいているかも知れません」
曖昧で無責任に感じるその言い方になんだか腹がたった。声のトーンが一定なのも機械感がまして心がこもっていないように感じる。
白雨様のことなんてどうでもいいの?
「今、あなたは」
「私たちの話し方に」
「腹を立てていますか?」
「ええ!そうよ!」
思わず感情が高ぶって吠えるように言葉を放った私。茜が目をまん丸にしてびっくりしていたが、そんなことを気にしている場合じゃなかった。
「あまり、感情を出しすぎる従者は」
「この世界では危ないんですよ」
「この│
「不安定?」
「いえ、こちらの話です」
私は、さらにイラッといや、ムカッとした。そっちの事情を匂わすだけ匂わせながら結局核心の部分は教えてくれない。私の普段とは明らかに違う不穏なオーラに気づいたのか茜は、どうにか私を落ち着かせようとしている。
「もういいです! 私達にだってもっとしっかり教えてくれる人いますし! さようなら!」
「え? ちょっと?! 湊月!……失礼しましたー!」
私がドタバタと扉を閉めたあと、少し遅れて茜が部屋を出てきて、大きなため息をついた。
「湊月らしくないよー。どしたの?」
「自分でも勢いでつい……としか」
普段ならもっと考えて行動するのに、今回ばかりは感情が身体を操作していた。前からあの従者さん達のことは好きではなかったけど。
「まあ正直、湊月も感情あるんだってほっとしたわ」
ちょっと失礼な茜の言葉が私にはありがたかった。なんともいえない達成感と疲労感に包まれながら部屋に戻る。いつまでも、情報ばかり求めていたら、白雨様の心を癒すという任務が一向に進まない。私たちに地上の暮らしがかかっていると思うと焦りが滲んだ。
「ん? ねぇ湊月、うちらの前に人影ない? 」
「ほんとだ、二人? 誰だろ」
その人たちはまるで、私たちを待っていたかのように突っ立っている。そのうちの一人はなんだか怒っているようにも……。行きたくない、そう思ったのは私だけのようで茜はずんずん先へと進んで行った。
神さまとの伝言係はじめました 弓波 葵衣 @aoi_yuminami
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