第44話
え?……あ、なるほど。このお城の廊下は円形になっていたんだ。どうりで突き当たりもなく、ぐるぐると回っているわけだ。
「湊月、また面白い顔してる」
茜に言われてキュッと顔を引きしめると、余計に笑われた。従者さん達の雰囲気は少し怖かったけれど茜のおかげで凝り固まった緊張も少しほどける。
「ここが」
「私たちの」
「部屋になります」
従者さん達は、やはり無表情でそう言った。茜の方に目を向けるとなにやら一生懸命に地図を眺めていた。あまりにも真剣に見つめているものだから、理由を聞こうと肩をたたく。
「あー、えっとね。ここの部屋は白雨様の隣なんだなーと思って。ただそれだけ」
「そうです、いつ何があってもいいように」
「私たちは白雨様の隣の部屋で」
「生活しています」
「な、なるほど……」
部屋を用意されていると言っても隣が従者さんの部屋なんて絶対気も休まらないだろうなー。いや、あんなに小さい子がお城の部屋で一人きりという時点で寂しそうだ。茜もそう思ったのか複雑そうな顔をしていた。
「さあ」
「どうぞ」
「お入りください」
「お、お邪魔しまーす」
従者さんたちの部屋は、予想通りすっきりとしていた。いや、予想以上かもしれない。整然としている……というよりは生活感がないという感じ。綺麗というよりは使っていないような、少し不気味にも思える程だった。
「こちらの白いソファーに」
「おかけになってください」
「さっそくですがお話します」
「は、はい!」
私達は、慌ててこの部屋を構成する数少ない家具であるソファーに座った。この話し方と無機質な部屋、一瞬ロボットなのかと錯覚してしまう。いや、もしかしてほんとにロボット?
いや、まさかねと頭を振った。
「さて、単刀直入にいいますと」
「最高神様は人間ではありません」
「しかし、白雨様は」
「純粋な神様ではありません」
「え?純粋な神様ではない?」
「それってどういう意味ですか?」
私の頭にも、あかねの頭にも?が浮かんでいた。
最高神様は神様。でも、白雨様は純粋な神様ではない? とりあえず私の脳内で処理することが出来たのは、最高神様も白雨様も一応人間ではないということだけ。
「簡単に言うと」
「白雨様のお母様が」
「人間ということです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます