第43話

もしかして、白雨様も近くにいたりして? と思い周りを見渡すもそれらしい人影はない。三人の従者さん達は相も変わらず無表情でこちらを見つめていた。



「ねぇ、湊月。この人たちならなにか知ってそうじゃない? 」


「う、うん。でも、私達従者さんとは仲良くなった訳じゃないけど答えてくれるかな。」



茜とこそこそ聞こえないように相談する。この従者さん達は簡単に最高神様の件について口を割ってくれるようには見えなかった。私も茜も押し黙ったその時。



「あのー、聞こえてましたよ」


「最高神様のことについて」


「知りたいんですか? 」


「え!あ、うーんと、はい。」


「教えて頂ける範囲で是非ともお願いします!」



焦って、戸惑いながら返事をした方はもちろん私。最近やっと成長してきたかなーなんて思っていたのに本質はあまり変わっていないのかもしれない。はきはきと話せる茜が眩しいと何度思ってきたことか。



「具体的には」


「どのようなことを」


「知りたいんです? 」



案外、従者さん達は乗り気なの? とりあえず、門前払いに拒否されることはなさそうで安心する。茜も少し意外と思ったのか軽く目を見開いたあと、こちらに向かってウィンクをしてきた。



「えっ、と雨の最高神様に関係するお方に人間がいたという話を聞きまして……」


「それは一体」


「どこで誰から」


「聞いたんです? 」



無表情だった顔に少しの焦りと怒りが滲んだ。私は怖くなってすぐに目をそらす。すると、茜がすっと私に近づいてこう言った。



「なんか雰囲気変わったね、従者さん達の。いちお、誰から聞いたかははぐらかしておこ」



さっきのひそひそ声よりも、さらに落とした音量で茜が言ったのでぎりぎり聞き取れるかどうかといった感じだった。従者さん達には聞こえていないことを切に願う。一気に心拍数が増してきて深呼吸をする。



「誰に聞いたかは覚えていませんが、私達も人間なのでちょっと気になって聞いてみました」


「なるほど、それなら」


「少しくらいは」


「教えましょうか」



ついてきてください。と従者さんの一人が付け足した。とりあえず教えてくれるようでほっとする。なんとか来てみたかいがあったようだ。茜とも視線を合わせにっこりする。


そしてこの廊下はいつまで続いているのだろう。


「あのー、これってどこまでつづいているんですか? 」


「廊下のことですか?」


「突き当りなんてありませんよ」


「円のかたちになっていますから」



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