第13話 不思議な雲
「
「うん、でもどうやって行くか茜分かる? 」
「いや、分かんない」
ひゅー、と冷たい風が駆けて行ったような気がした。え、まさかの行き詰まり? 私達が絶望の縁に立たされていたその時。
「湊月、なんかそれ動いてない? 」
茜の言葉の通り、下を見てみると、もこもこっと雲が動いている。地面だったはずの雲が一部、分離している。大きなぬいぐるみくらいの大きさのそれは、ふわふわと私達の目線の高さに浮かんで来た。
「な、何。もしかしてこの世界崩れちゃうの? 」
恐がる私に対して茜はとても冷静だった。
「いや、この雲しか分離してないからたぶん大丈夫」
頼りになる仲間だ、と安心していると。子どものような声が聞こえてきた。
「シエロにいきたいもく? 」
どこからか聞こえてくる声。し、しえろって何。再び私は混乱する。茜も戸惑っているのか辺りをキョロキョロ見回していた。
「ここもく!んー、シエロはまんなかのまちもく!」
ま、まさか話しているのは目の前の雲? シエロってとこが、
「あなたが喋っているの? 」
茜が、私の疑問に思っていたことを聞いてくれた。私はというと、頭がこんがらがって言葉を発せずにいた。
「やっとわかったもくか。シエロにいくならのってくもく? 」
のってくもく? のってく? 乗ってく?
「乗せてくれるの? 」
「そうもく! のらないもくか? 」
なぜかは分からないけれど少し残念そうに聞いてきた。怪しくなくもないけれどこれを逃したら行く方法がない。そう考えたのは茜と同じだったらしく、揃って私たちは頷いた。
「じゃあ、のるもく」
少し狭いけれどぎりぎり乗ることが出来た。そして驚いたのがそのふわふわ感。この
「しっかりつかまるもく!」
雲はそういうと結構なスピードで、飛んでいく。
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