第8話 決意
ほ、ほんとに? 私の頭は完全にホワイトアウト。
「私と友達になるの嫌? 」
そんな訳ない。逆にお友達になってくださいという感じだ。裏はないよね? と勘ぐってしまう自分に嫌気がさす。
「ううん、嫌じゃない。私も友達になりたい」
なんとか声を出してそう答えると、
「石蕗さんこれからよろしくね。」
私は、これ以上ないくらいの笑顔でそう言ったのに石蕗さんの表情は少し強ばっていた。え、なんか私悪いこと言っちゃった? どうしよう、もしかして友達になって数分で絶交? 石蕗さんは、ほっぺをぷくーっと膨らませる。
「友達になっても、苗字にさん付けなの? 私のことは
絶交じゃないことに安心すればいいのか。茜って呼ぶことに緊張すればいいのか。色んな気持ちが混ざりに混ざりあって私の頭はパンクした。私の頭脳は想像以上に脆いことがこの数日でわかった気がする……。
「わかった、茜よろしくね」
「うん、うん、湊月よろしく」
なんとなく恥ずかしくなって、えへへとお互い笑いあった。
あー、まるで夢のようとはこういう時のことをいうんだな。ま、まさか本当に夢だったらどうしよう。私は焦って、自分のほっぺを思いっきりつねる。顔面を引き裂くような痛みに、夢じゃないことを確信した。
「あははは! 湊月ってやっぱり面白い。しかも可愛い! 」
「茜の方が可愛いよ。」
これは、面倒くさい女子同士の褒め合いでもなく謙遜でもなく紛れもない事実だった。茜は、キョトンとしているけれどもしかして鏡見たことがないのだろうか? 少し明るめの髪色でショート、目はぱっちりくりくりで睫毛も長い、しかも小顔。可愛いを詰め込んだような顔なのに。
「そうだ、湊月あれのことなんだけど。」
あー懐かしい、初めてあったときもこんな会話したっけな。
最初は、茜のこと不審に思ってたことが懐かしい。
「湊月、一緒に行ってくれない? 」
行くかきめた? とかは聞かれると思っていたけど、まさか誘われるなんて。茜の言動は読めないな。たった今、私の未練は解決した。これで、自信をもって茜に応えることができる。
「う、うん。茜となら」
『この世界にいるか、向こうへ行くか、 好きな方を選びなさい。ただ、どんな人と一緒か。誰が自分を大切にしてくれるかよーく考えて選ぶこと。最後のおばあちゃんとの約束じゃ』
おばあちゃん、私はちゃんとおばあちゃんとの約束果たしたよ。
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