第2話 邂逅

24歳になった。

大学を卒業し、就職して2年目。そろそろ高校時代から付き合ってる彼氏にプロポーズされそう。やっぱりプロポーズも結婚式も、すごく感動するんだろうなぁ。結婚式はきっととっても素敵な出来になるから、今回は結婚式が終わったら死のうかな。

私はずっと死ぬタイミングにこだわり続けてる。人生最高のタイミングで死に続ければ、もし二度と次の人生がなかったとしても、どの人生も最高の終わり方だったと言えるじゃない?あとは、…

「危ない!」

「!!」

「あんまぼーっと歩くなよ、危ないだろ」

「ごめん、ありがと」

「ここらへん道狭くて事故も多いんだ。あんまいい話は聞かないな。そういえばすぐそこの踏切も曰く付きなんだって。なんでも昔若い女が就活ノイローゼで死んだとかで…」

視線の先を見ると、踏切に見覚えが。

そこの踏切で死んだ若い女といえば、私だ。前の時に自殺したところだ。

「ふーん、気の毒にねぇ…」

思ってもないことを、口に出して顔を上げたら、いた。

あの日も、夕焼けが綺麗だった。逆光で見にくい。目を細めて見る。

遮断機の向こう側にいる女性は、前世の私と同じ顔をしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る