第24話 球児の特攻
リサは寂しそうに呟く。
「さすがにこの1点は重いわね。勝負あったかな。」
神谷も同調する。
「ダメ押しになったかもね。スタミナの回復も半分だけだったしね。まさか『札幌テ
クノバスターズ』の切り札がここまでとは思わなかったな。でもこれで、どちらのチ
ームにも策は無いんじゃないかな。後は三点差をひっくり返す気力が『武蔵野ジャイ
アンツ』にあるかどうかだね。」
秀樹はベンチに戻り、ホームを守った大輔に礼を言う。
「大輔、頑張ったな。助かったよ。」
「秀樹先輩。死ぬかと思いましたよ。アウトに出来てよかったです。」
大輔は笑顔で答える。そこへ秀美と真子が近づいてきた。
「大輔、偉かったぞ。ご褒美にチューしてあげようかぁ。」
あぁ、また二人に追いかけまわされる大輔。可哀そうに・・。
三石がチーム全員に指示する。
「俺たちのスタミナは秀樹以外は『札幌テクノバスターズ』の半分しかない。もう延
長戦になっても闘えない。もうスタミナの残量は気にするな。思い切って行こう。こ
こは背水の陣だ。この先で代用(トークン)になっても構わない。」
チーム全員で頷いた。
「秀樹と真子は再度交代。スタミナ量の多い秀樹が投手(ピッチャー)で行く。」
「わかった。任せておけ。」
実況:スリーアウト・チェンジだ。長い『札幌テクノバスターズ』の攻撃が終わりま
:した。ついに点差は3点に広がった。まずは1点でも返したい『武蔵野ジャイ
:アンツ』。六回の裏、打順は二番・二塁手(セカンド)の球児選手から。好打
:順を活かせるか。
ピッチャーの白木には自分の計画どおりにゲームが進んでいる自覚があるようだ。
だが、まだ勝負は終わっていない。秀樹はネクストバッターサークルで球児を見守
る。
■ピッチャー 「投球スキル コモン シュート」
■バッター 「打撃スキル アンコモン 強打」
実況:バッター、打った。三遊間を割った。レフト前ヒット。球児選手、出塁だ。
:『武蔵野ジャイアンツ』、待望のノーアウトのランナーだ。ノーアウト・一
:塁。次の打者は三番(ピッチャー)の秀樹選手。チャンスを広げることができ
:るか。
チャンスだ。だが、ここはランナーを送って四番の三石と五番の中尾に任せよう。
バッターボックスでピッチャーの白木と向き合う。白木にはやはりさっきの追加点で
の余裕が感じられる。この隙を見逃さない。
■ピッチャー 「投球スキル アンコモン カミソリシュート」
■バッター 「打撃スキル コモン バント」
切れのいいシュートが秀樹に迫ってくる。でもこのバントは外せない。
実況:秀樹選手、バントだ。切れの良い『カミソリシュート』に飛びついた。バット
:に当てたぞ。だが、三塁手(サード)が『バント』を読んで早めにダッシュ。
■ランナー 「マルチスキル レア 神速」
実況:ランナーの球児選手。『神速』で加速。二塁は間に合わない。やむなく三塁手
:(サード)は一塁手(ファースト)にボールを投げる。一塁はアウト。これで
:ワンアウト・二塁だ。
:『武蔵野ジャイアンツ』、得点圏にランナーを進める。次のバッターは、四番
:・三塁手(サード)の三石選手。絶好のチャンスだ。
白木の表情が歪む。三石は力強くバッターボックスに入った。
■ピッチャー 「投球スキル レア フォークボール」
■バッター 「打撃スキル レア 振り子打法」
実況:ピッチャー投げた。すごいスピード・・・あっと球が落ちる。『フォークボー
:ル』だ。三石選手、意表を突かれたが。それでも何とかバットを合わせる。
:快音が鳴った。打球は一・二塁間を破って、打球はライト前に転がる。ヒット
:だ。ランナーは三塁でストップ。ワンアウト・一塁・三塁だ。チャンスが広が
:る。次のバッターは五番中堅手(センター)の中尾選手。このチャンスを生か
:すことができるのか。
バッターボックスに入る前に中尾はしばらく考えていた。『スクイズ』か。だが、
『札幌テクノバスターズ』の内野はかなりの前進守備だ。よし。思い切って犠牲フラ
イを狙おう。
実況:中尾選手、バッターボックスに入りました。さぁ、どう出るのか。
■ピッチャー 「投球スキル アンコモン カミソリシュート」
■バッター 「打撃スキル アンコモン 強打」
「キーン」と快音を残して打球はレフトに・・。犠牲フライになる。サードランナー
の球児はタッチアップの構え。
■レフト 「守備スキル レア レーザービーム」
■ランナー 「マルチスキル レア 神速」
実況:『レアカード』と『レアカード』の対決だ。左翼手(レフト)から捕手(キャ
:ッチャー)の冬樹選手に『レーザービーム』でダイレクトにボールが返ってく
:る。
:だが、サードランナーの球児選手も『神速』で加速。あぁ、さらにランナーに
:『スキルカード』が回転している。
■ランナー 「走塁スキル アンコモン ヘッドスライディング」
球児はさらに加速する。相手の捕手(キャッチャー)の冬樹とのガチンコの勝負に
なる。
実況:タイミングは際どい・・。球児選手、捕手(キャッチャー)の右からヘッドス
:ライディング。捕手(キャッチャー)のタッチをかいくぐった。そのまま回転
:して右手はホ-ムベースにタッチしている。マザーの判定はどうだ。
□マザー 「判定:ホーム セーフ」
やった。やっと一点返したぞ。ホームインした球児にチームメイトが抱き着いてい
る。
実況:ホームベース上でのすさまじい死闘でした。『武蔵野ジャイアンツ』の球児選
:手の見事な『ヘッドスライディング』でした。。無事にホームイン。これでス
:コアは3対1。勝負の行方はまだまだわからなくなりました。しかしこの『マ
:グマ・スタジアム』で球児選手のスタミナは持つのか。
:次のバッターは六番遊撃手(ショート)のサスケ選手。ツーアウト・二塁。
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