第22話 相手の策は・・

実況:ついに白木選手が代用(トークン)に替わった。これは辛い。何しろ四番・投

  :手(ピッチャー)の戦線離脱だ。『札幌テクノバスターズ』の戦力は大幅ダウ

  :ンだ。せっかくのワンアウト・二塁・三塁のチャンスだが、次のバッターの五

  :番の冬樹選手に期待するしかない。


 真子も安心したようだ。ピンチとはいえ、バッターは代用(トークン)だ。ほとん

ど無意味にバットを振って三振だ。ほぼアウト確定の相手。心配はない。


■ピッチャー 「宣言無し」


『武蔵野ジャイアンツ』のチームメンバーの緊張が一瞬緩む。この瞬間を待っていた

のだろう。次のバッターの冬樹が不意に右手を上げて宣言した。


■攻撃    「闘志スキル スーパーレア 死者の生還」


 えっ。冬樹の体に青い光のリングが何重にも重なる。代用(トークン)のマネキン

に激しく稲妻が落ちた。ここで『スキルカード』を使うのか。代用(トークン)が元

の白木の姿に戻っていく。そんな馬鹿な・・。


〇マザー   「『死者の生還』 ブロークン」


 白木は満面の笑顔だ。作戦通りってことなんだな。真子の投げた力の無いストレー

トを狙い打つ。


■バッター  「打撃スキル レア ガニ股打法」


 くそう。また嵌められた。『死者の生還』だって。スコアボードの効果を読む。


『死者の生還』

・一試合に一度使用できる。ただし、使用後に必ず『破壊(ブロークン)』する。

・代用(トークン)になった味方プレイヤーをスタミナマックスで元に戻す。


 なんて『スキルカード』だ。白木は代用(トークン)から元に戻って、ボールを打

ち返した。秀樹の守るライト線にボールは転がってくる。サードランナーがホームイ

ンするのが見える。3点目を取られた。セカンドランナーも三塁を蹴った。これ以上

は点をやる訳にはいかない。秀樹は最近入手した、とっておきの『スキルカード』を

使った。


■ライト   「守備スキル レア レーザービーム」 


 ボールを捕手(キャッチャー)の大輔に猛スピードで投げる。大輔にノーバウンド

でボールが届く。


■ランナー  「走塁スキル レア 黒い弾丸」 

■キャッチャー「守備スキル アンコモン 根性」 


 大輔は『ブラックカード』の『黒い弾丸』に『根性』で立ち向かう。ホームベース

上でランナーと捕手(キャッチャー)の激突。体格の小さな大輔が吹き飛んだ・・。

 だが大輔はボールを離さなかった。キャッチャーミットを高々と上げる。


□マザー  「判定:ホーム アウト」


 打った白木が三塁を狙う。大輔は三塁手(サード)の三石に送球。白木は慌てて二

塁に戻る。


実況:六回表、両チームのすさまじい攻防。あまりの激しさに実況が追いつきません

  :でした。スタミナ切れで代用(トークン)に変化した白木選手。ところが次の

  :バッターの冬樹選手が『死者の生還』を宣言。この『スキルカード』はトーク

  :ン化したプレイヤーをスタミナマックスで蘇らせるカードです。なんと白木選

  :手を打席で復活させた。そのまま復活した白木選手がライト線へボールを打ち

  :返した。サードランナーはここでホームイン。スコアは3対0になった。セカ

  :ンドランナーも一気にホームを目指すが、右翼手(ライト)の秀樹選手が『レ

  :ーザービーム』で捕手(キャッチャー)の大輔選手にダイレクトで返球。大輔

  :選手が本塁を死守。いやぁ、すごいプレイでした。現在、ツーアウト・二塁。

  :さぁ、次のバッターは五番捕手(キャチャー)の冬樹選手です。

  :いや、まだ死闘は終わっていない。右翼手(ライト)の秀樹選手が今の『レー

  :ザービーム』でスタミナ切れだ。頭上にトークン化のカウントが浮かび上がっ

  :た。


『レーザービーム』で俺のスタミナがゼロになった。スタミナ回復はこのタイミング

だ。さっきの『札幌テクノバスターズ』の策を秀樹は理解した。白木のスタミナマッ

クスでの復活は痛い。でも『スーパーレア』の『死者の生還』は、さすがに枚数はも

う無いだろう。他の『札幌テクノバスターズ』のメンバーのスタミナが消耗している

分、『武蔵野ジャイアンツ』の方が有利なはずだ。ここで『フェニックス』で一気に

スタミナを挽回だ。秀樹はカードを準備する。

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