第14話 逆転

実況:球児選手、バッターボックスに入った。さあ、大事な、大事な打席だ。

  :強攻するか、スクイズか。


■ピッチャー 「投球スキル レア ナックル」

■バッター  「打撃スキル アンコモン 強打」


 球児にボールが迫ってくる。ボールが揺れている。ナックルだ。なんだ、これ。こ

んなボールを打てるのか。球児は一瞬動揺する。だが、すぐにさっきの秀樹の言葉を

思い出す。振る、振る、振るんだ。逃げるな。打ち勝つんだ。


実況:ピッチャー投げた。ボールが揺れている。ナックルだ。非常に難しい球だ。

  :球児選手、打ち返すことができるか。思い切りバットを振った。


 ネクストバッターボックスで秀樹は球児を見守る。バットを握る手に力が入る。こ

の1球が試合を決めるかもしれない。球児は約束どおり全力でバットを振った。


実況:打ったぁ。打球はフラフラと力無くライト前に飛んでいく。これは捕球できな

  :そうだ。ヒットになるのか。

  :ランナーは全員走り出した。右翼手(ライト)が取ればダブルプレイだが三人

  :のランナーに迷いは無い。一斉にスタートを切った。


■ライト  「守備スキル レア 神速」


実況:右翼手(ライト)、『神速』を宣言する。が、間に合わない。ボールはワンバ

  :ウンド。サードランナー、今ホームイン。これでスコアは4対2。そしてセカ

  :ンドランナーの秀美選手は三塁で止まった。


実況:八回裏、『武蔵野ジャイアンツ』、追加点だ。スコアは4対2。引き続いて、

  :ノーアウト・満塁。バッターは三番・右翼手(ライト)の秀樹選手だ。


 もう少しだ。もう少しで『ブラックアイズ』に追いつける。秀樹はバッターボック

スに入る前に深呼吸をした。ここで俺がヒットを打てば同点だ。やってやる。


実況:八回裏、『ブラックアイズ』は追い詰められた。ピッチャーが額の汗を拭う。

  :ノーアウト・満塁のこのピンチを耐え凌ぐことができるか。


■ピッチャー 「投球スキル レア フォークボール」

■バッター  「打撃スキル レア 一本足打法」


実況:さぁ、投球だ。バッターの秀樹選手は『レアカード』の『一本足打法』だ。長

  :打狙い。ボールはバッターのホームベースの前で激しく落ちた。これは『フォ

  :ークボール』だ。秀樹選手、打てるかぁ。


 ぐ、ホームベース前でボールがストンと落ちる。もうバットは止められない。秀樹

は歯を食いしばってバットの軌道を修正する。なんとかボールにバットを当てる。そ

のままボールを地面に叩きつけた。


実況:秀樹選手、打ったあ。三塁手(サード)前にボールを打ちつけた。ボールは大

  :きく跳ねて、そのままレフト線を転がる。左翼手(レフト)の左京選手、懸命

  :にボールを追う。サードランナーの秀美選手がホームイン。さらにセカンドラ

  :ンナーの真子選手、三塁を蹴った。ボールは帰ってこない。ホームイン。秀樹

  :選手の同点打が炸裂。スコアは4対4。ファーストランナーの球児選手は一挙

  :三塁へ。


 やった。追いついたぞ。同点だ。秀樹は拳を握りしめた。そのままネクストバッタ

ーボックスの三石を一塁から見守る。


実況:八回裏、『武蔵野ジャイアンツ』の猛攻だ。この回、一挙に三点。小学生チー

  :ムがついに前回のベスト4に追いついた。ノーアウト・一塁・三塁だ。そして

  :次のバッターは四番・三塁手(サード)の三石選手だ。

 

■ピッチャー 「投球スキル レア フォークボール」

■バッター  「打撃スキル レア ガニ股打法」


実況:ピッチャー、『レアカード』の連投。バッターも『レアカード』の『ガニ股打

  :法』だ。両チームの全力のぶつかり合い。三石選手、『フォークボール』をす

  :くい上げた。打球は再度レフトに高々と上がる。これは犠牲フライになるか。


 左京は捕球体勢に入った。サードランナーの球児はさっきの秀樹と同じように陸上

のクラウチングスタイルで捕球を待つ。このまま犠牲フライでホームに突っ込むつも

りだ。


実況:左翼手(レフト)の左京選手、ボールを取ったぁ。これでワンアウト。さぁ、

  :タッアップだ。サードランナーの球児選手、スタート。


■レフト   「守備スキル レア レーザービーム」


実況:左京君、レアカードの『レーザービーム』を連発。だが、ランナーの球児選手

  :はスピードを落とさない。そのまま捕手(キャッチャー)に突っ込む。


■ランナー  「マルチスキル レア 神速」

■キャッチャー 「守備スキル レア 要塞」


実況:球児選手、『神速』で更にスピードアップ。捕手(キャッチャー)の右京選手

  :も、再度、『レアカード』の『要塞』を宣言。そのまま灰色の城塞と化した。

  :七回の秀樹選手の再現だ。


 球児は右に回り込んだ。右から捕手(キャッチャー)の右京の隙を狙う。球児の

『スキルカード』がさらに回転する。


■ランナー  「走塁スキル アンコモン ヘッドスライディング」


実況:球児選手、さらに『スキルカード』だ。『要塞』で動きが鈍くなった右京選手

  :の右側を上手に抜けた。右京選手がランナーにタッチ。審判はどうなる!。


〇マザー 「判定 ホーム セーフ」


実況:セーフ、セーフだぁ。『武蔵野ジャイアンツ』、4対5。この回に一挙4点。

  :逆に1点差とリードを広げた。ファーストランナーの秀樹選手はこの間に二塁

  :に進む。なお、ワンアウト・二塁。次のバッターは五番だ。


■ピッチャー 「投球スキル レア フォーク」

■バッター  「打撃スキル アンコモン 強打・・・」


実況:バッター、バットを止めた。ボールはホームベース前でストンと落ちた。

  :『フォークボール』だ。判定はストライクか、ボールか。どっちだ。


〇マザー   「判定:ボール フォアボール バッター一塁へ」


実況:バッター、よく見た。ボール。フォアボール。これでワンアウト・一塁・二塁

  :だ。まだまだ『武蔵野ジャイアンツ』のチャンスは続く。次は六番バッター。


■ピッチャー 「投球スキル アンコモン カミソリシュート」

■バッター  「打撃スキル アンコモン 強打」


実況:打った。だが、三塁手(サード)前のゴロになった。三塁手(サード)が取っ

  :て二塁手(セカンド)、一塁手(ファースト)とボールが回る。ダブルプレイ

  :だ。これでスリーアウト・チェンジ。長い、長い、『武蔵野ジャイアンツ』の

  :攻撃が終わりました。だが、スコアは4対5。ついに小学生チームが前年のベ

  :スト4をまさかの逆転だ。このまま逃げ切ることができるか。それとも『ブラ

  :ックアイズ』が再逆転を果たすか。目が離せない展開になりました。

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