約100回記念特別企画 マイナー昆虫決定戦! ⑤腹筋崩壊太郎はアミメカゲロウ目

 昆虫の全グループ(もく)を、ノンダイジェストで紹介している今回のシリーズ。


 前回からは、知名度がBミョ~なBクラスに焦点を当てています。


 知名度はイマイチな彼等ですが、個性に関してはAクラスの昆虫にも引けを取りません。

 昆虫界のBYバイプレイヤーたちの活躍を、お楽しみ頂ければ幸いです。


◇ルール


 ①まず各グループをABCの三つに分け、Cクラス以外をふるい落とす。

 

 ②Cクラス内で決勝を行い、最もマイナーなグループを決定する。


 ※クラス分けの基準は、以下の通りです。


 Aクラス:昆虫に興味のない方でも知っているグループ。


 Bクラス:昆虫に多少興味のある方や、特定の業界には知られているグループ。


 Cクラス:かなりの昆虫マニアしか知らないグループ。


 ※カマアシムシもく、トビムシもく、コムシもくも、広い意味では「昆虫」です。

  ただし他の昆虫とはちょっと違うため、今回は除外します


 ◇特別ルール


 グループ自体は無名でも、有名な昆虫が含まれる場合は、ワンランクアップとします。


 例:「コウチュウもく」と言うグループが無名でも、「カブトムシ」が超有名な場合。

 →本来はCクラス相当でも、Bクラスになる。


 ※最終的には作者の独断と偏見で決まります(笑)


 ※総数(種類)の多い順番に並んでいます。





 ☆アミメカゲロウもく脈翅目みゃくしもく) Neuroptera


 総数:約5900種。


 変態:完全かんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギになる)。


 代表的な昆虫:ウスバカゲロウ(アリジゴクの成虫)、クサカゲロウ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:特別ルールを制定する原因になったグループその2。


 ・「アミメカゲロウもく」はマイナーだが、「アリジゴク」を知らない人はいない。

  知名度こそないが、クサカゲロウも日常的に見る昆虫。


 ・「カゲロウ」と付いているが、「カゲロウもく」とは大きく掛け離れたグループ。


 ・そもそもあちらは不完全ふかんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギにならない)だが、アミメカゲロウもく完全かんぜん変態へんたい


 ・またカゲロウの成虫は口が退化しているため、エサを食べることが出来ない。


 ・一方、アミメカゲロウもくの成虫には、他の虫を食べるものがいる。

  何も食べないと言われていたウスバカゲロウも、最近、エサを食べることが判明した。


 ・更にカゲロウもくの幼虫は水中で暮らしているが、こっちの幼虫は陸で暮らしている。

  ただしアミメカゲロウもくの幼虫にも、水の中で生活するものはいる。


 ・細長い昆虫だが、膜状の大きなはねを持つ。


 ・また「脈翅目みゃくしもく」と言われる通り、はねに細かい脈(翅脈しみゃく)が入っている。


 ・他の昆虫にも脈はあるが、アミメカゲロウもくのそれは特に細かい。

  「アミメ」と言う名前の通り、網目状になっていることもある。


 ・カマキリモドキは上半身がカマキリで、下半身がカゲロウと言う奇妙な昆虫。

  しかも彼等の幼虫は寄生昆虫で、クモの卵やガの幼虫に棲み着く。


 ・腹筋ふっきん崩壊ほうかい太郎たろうは「カマキリ」ではなく、このグループをモチーフにした怪人。

  気になる人は、「トガマムシ」で検索してみて下さい。


 ◇幼虫


 ・肉食で、立派な顎を持つ。


 ・すり鉢状の巣を作るアリジゴクは、特に有名。

  ただし、巣を作らないアリジゴクもいる。


 ・アリジゴクは獲物に消化液を注入し、溶けた身体を吸う。

  この消化液には昆虫に対する毒性があり、瞬時に相手を麻痺させてしまう。





 ☆カワゲラもく襀翅目せきしもく) Plecoptera


 総数:約3800種。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギにならない。幼虫がそのまま大きくなる)。


 代表的な昆虫:カワゲラ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:釣りをする人にはよく知られた昆虫。


 ・水辺に棲むグループで、きれいな川を好む。


 ・トビケラもくと名前や生態が似ているが、こちらはハサミムシもくに近い。


 ・平たく柔らかい昆虫で、尾(腹部の端)にアンテナ状の毛を二本生やしている。


 ・はねは膜状で、前のはねより後ろのはねのほうが大きい。


 ・割とはねの大きい昆虫だが、飛行能力は低い。

  トワダカワゲラやセッケイカワゲラのように、はねのない種類も存在する。


 ・またあしは頑丈だが、歩くのは遅い。


 ・口が退化しているため、ほとんどエサを食べない。

  ただし、藻や地衣類ちいるい(コケに似た菌類)を食べる種類もいる。


 ・夜行性の昆虫で、昼間は木や石にまっている。


 ・「せき」の字が難しく(『積』ではない)、ほとんどのフォントで出て来ない。

   服の「ひだ」と言う意味らしい。


  ◇幼虫


 ・見た目は成虫にそっくりだが、はねはない。


 ・また尾(腹部の端)には、アンテナ状の毛が二本生えている。


 ・成虫と違い、あし縁取ふちどるように毛が生えている。


 ・エラがあり、川の中で暮らしている。石の下に隠れていることが多い。


 ・多くの種が肉食で、他の昆虫をエサにする。

  ただし、藻を食べる種類も存在する。


 ・よく釣りをする人に捕まり、エサに使われる。


 ・トビケラと同じように、「ザザムシ」として食べられてしまうことも多い。


 ・水質汚染に敏感なため、河川がきれいであることを示す基準(指標)になっている。





 ☆ハサミムシもく革翅目かくしもく) Dermaptera


 総数:約2000種。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい


 代表的な昆虫:ハサミムシ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:B級以上、A級未満の微妙なポジションにいる昆虫。


 ・少し探せば見付かる上、特徴的な形のおかげで判別しやすい。


 ・Aクラスにしようか迷ったが、ナナフシやカゲロウほど知名度があるかと言うと……。


 ・個人的には、AクラスとBクラスの間に立つ門番だと思う。

  このグループより知名度が高ければ、間違いなくAクラス。


 ・見た目からは想像出来ないが、カワゲラに近いグループ。


 ・名前の通り、尾(腹部の先端)に尾鋏びきょうと言うハサミを持つ。


 ・ハサミはオスとメス両方にあるが、形が違う。

  オスのほうが大きく、形も複雑になっている。


 ・ハサミは外敵から身を守るための武器で、求愛や獲物を捕まえる際にも使う。


 ・細長く平らな昆虫で、複眼は小さい。


 ・基本的には雑食で、はねのある種類とない種類が存在する。


 ・後ろのはねは膜状で、意外と大きい。

  広げると扇形になるが、普段は前のはねの下に収納されている。


 ・前のはねは後ろのはねより短いが、コウチュウもくのように厚く硬くなっている。


 ・「革翅目かくしもく」と言う名前も、前のはねが「革」のような質感を持つことに由来している。


 ・日本で暮らすしゅは、石や落ち葉の下に潜んでいることが多い。


 ・外国には洞窟に棲むハサミムシや、コウモリやネズミに寄生するしゅがいる。


 ・メスは地中に掘った穴や石の下に産卵し、献身的に我が子の世話を行う。


 ・しかもコブハサミムシは産まれた子供に自分を食べさせ、生涯に幕を閉じる。


 ・余談だが、クモのカバキコマチグモも同じ習性を持っている。

  詳しくはこちらをご覧下さい。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896244526/episodes/1177354054896479125

(URLをクリックすると、該当する回に飛びます)



 長くなったので、今回はここまで。


 次回はSCPっぽい昆虫が登場します。

 意外と身近にいる昆虫なので、探せば見つかるかも?


 ◇参考資料


 徹底図解 昆虫の世界

 岡島秀治監修 (株)新星出版社刊

 

 昆虫の誕生 一千万種への進化と分化

 石川良輔著 (株)中央公論社刊


 ※その他、過去に作者自身の書いたものを参考にしています。

  当時参考にした資料は、各回をご覧下さい。 

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