第13話【子どもに戻る成長】
『3、2、1、0スタート』
ニイナの合図と共にスタート位置からみんなは飛び出す、院生の中には行かなかったものもいる、それはリームの指示によるものだった。
両チームリームがリーダー的ポジションに立ち先導していた。
復活回数は1回だけだから、無駄に攻めたりは出来ない、当たれば即リスポーン地点に飛ばされ、連絡がつかなくなる。
そう思えば無線とか欲しいな、後で作ろ。
そう気楽にみんなの行動をモニター越しに確認し、これからのサバゲーについて考える。
「GOGO!AからD、そして直線的に行ってFからIで奪う、1人目はBからHに行ってFで。敵がいたら警戒しつつ集中砲火」
ベータチームでもそうだが、アルファチームでも走りながら作戦を再確認する。
「了解っす」
「OK」
「うん」
エリアは大雑把に9個の区画にわけ、上から見て順にABC、そして一段落してDEF、1番下にGHIになっている、それぞれのエリアには旗がひとつあり、自分の位置を分かりやすくしている。
アルファチームはAから、ベータチームはIから始めた。
「うっ!」
Eエリアの旗に着いた頃、発砲音ともにタルトの一驚の声をアルファチームの残りの3人は耳に入る。
「っタルト!やられた、ゼンか」
リームは相手が自分のならどう動くのか一挙一動わかっていた、自分なら。
あの場でアルファチームのリームは自分以外が作戦や提案などをしなかったから、ベータチームでの作戦立案が同じ自分、リームだけが作戦を立てると踏んでいた。
けど違う、相手のメンバーの中に同じ人が偶然いるだけだ。
グリルは自分より頭が働く。そのため、とやかくは言わなかった。
ココとタルトはあまり自分から意見を言わず、人の意見に準ずる人たということはこの数日で分かる、けど初めてのサバゲー、そこに気を配れなかった。
中でリームを除いて唯一作戦立案をするかもしれないサキ、だが案外サキは慎重派だった。
これらのことに気づかず、そのまま作戦を立てていた。
対策されていてもおかしくない、自分の考えうる作戦をベータのリームがあらかた言ってゼンがそこから作戦を立てた。
このことに気づかなかったリームは少し悔やんだが、悔やんでも戦闘は勝てない、そのため打たれた方向から身を隠れる。
しかしそこも分かられていて、多方向から打たれる。
音が分散してどこにあるか分からない、そこでリームが事前に話していたハンドシグナルで退却する。
「とりあえず、逃げたけどBになったか、他のみんなとはバラバラになったな」
そう、リームは呟きながら木に寄りかかる。
「復帰してきたけど、どう?」
「タルトか。作戦は全て筒抜け、他のみんなとも別れたよ」
タルトの疑問に下を向きながら、悲しそうそうリームは言う。
「なるほど。とりあえずリーム、楽しんだもん勝ちだと思うの、だから楽しもう」
「……ふんっ。そうだな、楽しんだもん勝ち、もう、あんなに醜く
何が吹っ切れたようになってリームは、空を向き手を伸ばした1度太陽を掴む素振りを見せる、掴むことは当然出来ない、けど別の何かを掴めたようだ。
「とりあえず、ガチで行かなきゃ楽しめないと思う、だからガチで行く。ベータをチームごと誘導をするからフラッグは任せた。ついでに指揮も」
「わかった。ならDFHのどれかを探した行くよ」
「いやいい、打たれてるかもしれない、攻めながらみんなを集めてくれ」
リームはそう言ってからさっき逃げてきた方に向かう。
「さてと、上手く使えるといいけど」
勇者の末裔の力を限りなく抑えて使う、手の甲のみに白く光る紋様のようなものが現れる。
その時、五感全ての感覚が向上する。
目は望遠レンズのように倍率を自然的に変えられ、鼻は僅かに臭う汗の臭いなどがわかり、肌に当たる風の感覚で周りの動きが全てわかっていた。
舌も耳も良くなったが他の感覚と比べたら調整ができないこともあり、一般人の「へー、おまえ舌いいね」とかな程度であった。
本人は高まった感覚に神経を焼き、脳を駆らせていた。
頭に爆発しそうな情報量が入る、頭では処理しきれないほどの情報と理性が戦い、理性がギリギリとして優勢を保っていた。
「3人撃破っと」
感覚を理性でなく、野生の勘のようなもので行動し、理性でベータチームのEにいる全ての人を一瞬にしてリタイアさせる。
ベータチームのリームはできないだろう、感情の変化で変わる力はある、大きなミスと共に大きな成長ができた。
たが、これもティールのひとつの狙いだということを知るものはニイナと君たちだけだろう。
「やっぱキツイか」
片膝をついでに頭を抱える、けれどもリームはこれで辞めようとしなかった。
まだいける。リームはこの忌まわしくも祝福された力を初めて、長時間暴走せず行使できた。
リームは暴走してはダメたと使う時に思い、そう思えば思うほど暴走しやすい力だということを知らない、勇者の末裔とは仲間といなければ行けない悲しくも決定された性を背負っていた。
今回は暴走しても園長が止めてくれ、そうリームは思っており、暴走して他人を傷つけることがないと踏んで暴走に背中を向けず、暴走とむきあっていた。
「まだまだいくぜ」
全員を倒しても勝利なため、それもついでに狙う、リームは気づいていないが手の甲だけにあった独特な模様は最初と違いその見た目を変え、手首よりも先に現れ始めた。
そのまま足で強く地面を蹴っ飛ばして、自分を前は違うと駆り出させる。
冷や汗はもうかきたくないく。人の目はもうに気にしたくない。ならそんなの全て気にせず園長にでも任せとけ。さぁ、オレ、もっとできるって事を見せて褒めてもらうぞ。
そう、リームは子どもらしく頑張ったことを評価して欲しくなっていた。
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